「勝った者が最強」を実践!室屋選手が最速のライバル達に勝利して千葉ラウンドを連覇【レッドブル・エアレース2017】

 

準決勝「ラウンド・オブ・8」もタイム差の上位vs下位の組合わせの対戦です。風が徐々に強くなっています。

HEAT8 室屋義秀(ラウンド・オブ・14 5位)vsマット・ホール(同4位)

2009年組の対決は、先攻室屋が2秒ペナルティ(ゲート7:インコレクトレベル)を受け、56.964で終了。後攻ホールはペナルティ分のマージンを有効に使いつつ55.295でゴールしますが、直後に審議となり、2秒ペナルティ(ゲート11:クライミングイン・ザ・ゲート)が確定、室屋選手が逆転勝利で勝ち抜けました。中間タイムを見てホール選手の健闘を賞賛しつつも、生気を失いかけていたレース会場が息を吹き返したように盛りあがります。

HEAT9 ペトル・コプシュテイン(6位)vsカービー・チャンブリス(3位)

先攻コプシュテイン選手は前のラウンド同様に55.732の好タイムを叩き出すと、0.5秒以上速いタイムを記録していた筈のチャンブリス選手が最初のバーティカルターンでオーバーGを犯し、まさかの失格となりました。コプシュテイン選手はキャリア初のファイナル4進出です。

HEAT10 マティアス・ドルダラー(7位)vsピート・マクロード(2位)

先攻ドルダラー選手は55.333をマークすると、後攻マクロード選手はHEAT10のチャンブリス選手と全く同じ所でオーバーGを犯してしまい、失格となります。こちらの2009年同期対決2戦目はドルダラー選手に軍配が上がります。

HEAT11 マイケル・グーリアン(8位)vsマルティン・ソンカ(1位)

先攻グーリアン選手は、自身この週末最速のタイム55.018を記録します。このタイムはファイナル4なら楽に優勝できたタイムでした。しかし、今一番ノっているソンカ選手はこのラウンドでも54.900と54秒台を記録、グーリアン選手渾身のアタックに立ち塞がり、昨年に続いてファイナル4進出です。

決勝「ファイナル4」

HEAT11終了から5分で、「ファイナル4」ことHEAT12は開始されます。ノックアウト方式ではなく、前ラウンドを戦った順に4機が飛行します。

最初の室屋選手は、一発勝負に出る事は無かったものの、本日の自身最高タイム55.288をマーク、後続を待ちます。

2番手のコプシュテイン選手は初のファイナル4進出で55.846と健闘しますが、室屋選手にはかなわず。

室屋選手、表彰台圏内が確定します。会場の期待が一気に膨らみます。

3番手は室屋選手と互いを好敵手と認めるドルダラー選手。終盤まで室屋選手を上回りますが、最後のバーティカルターン直前のパイロンをヒット!

3秒加算のペナルティで57.943。室屋選手の2位以内が確定します。

最後は本日最速のパイロット、ソンカ選手。昨年室屋選手との0.1秒という僅差の敗北もあり、果敢にコースを攻めますが……

2秒ペナルティ(ゲート4:インコレクトレベル)を受け、更に攻め続けますが56.533となり、室屋選手の優勝が決まりました。

室屋選手の優勝は通算3勝目、サンディエゴからの2連勝でチャンピオンシップランキングでトップに立ちました。また母国千葉戦2連覇となりました。母国レースで2連覇した選手は2人目という偉業です。

2位はコプシュテイン選手が入り、敗者復活から嬉しいマスタークラス初の表彰台:2位を獲得しました。3位はソンカ選手が昨年に続き、表彰台を獲得。ランキング首位からは陥落したものの、ポイントでは室屋選手と並んでいます。

決勝日に最速だったソンカ選手や、54秒台を予感させる飛行を見せたホール選手・ドルダラー選手らと直接対決を行って勝利した室屋選手。室屋選手自身は前年より奇跡的やミラクルを口にしながらも、しぶとく勝ち上がる強さを感じさせました。本当にタイトルへの期待を抱かずにはいられない千葉戦でした。

(川崎BASE) photo:Y.Kanoh