「勝った者が最強」を実践!室屋選手が最速のライバル達に勝利して千葉ラウンドを連覇【レッドブル・エアレース2017】

タイムを競うスポーツでは「最速が必ずしも最強ではなく、勝った者が最強」という意の言葉が多く語られます。今回のレッドブル・エアレース2017千葉の週末を通して最初に頭に浮かんだ言葉です。

6月1日木曜の朝、室屋選手は浦安のレース用仮設飛行場に居ました。

ただ「空から降りてくる」筈だった機体は強風のため到着せず、未だ福島に居ました。当日の朝、フライインを取材陣に公開するために集めていたので、浦安に居ない訳にはいかなかったのです。

他のチームは既に仮設ハンガーでは翌日のプラクティス(練習飛行)に向けて着々と準備を進めていました。機体は何とか同日到着出来ましたが、室屋選手とチームファルケンは母国でまさかの出足で躓きます。

6月2日金曜、公式スケジュールではプラクティスが2回予定されていましたが、終日吹いた強風により飛行は全て中止となりました。プラクティスは当初予選の前に3回予定されていましたが、急遽1回追加され 、合計2回のプラクティスを行う事となりました。これは現地での調整が遅れていたチームファルケンにとって他のチームに追いつく機会となりました。

6月3日 土曜は前日迄よりは風は収まり、好天の中で飛行が始まりました。

室屋選手はこの2度の練習では積極的なタイムアタックは行わず、レーストラックでシミュレーション予測との擦り合わせ、セッティングの仕上がりの確認を行っている様でした。

予選では、各選手続けて2回のタイムアタックを行います。

前戦終了時点でランキング最下位のミカエル・ブラジョー選手から順番にアタックを開始し、2番目に飛んだマット・ホール選手が55.101をマークすると、9番目に飛行したピート・マクロード選手が54.609を叩き出すまでトップの席を守ります。

10番目以降の選手は誰もこのタイムを上回れず、マクロード選手が予選1位を獲得。開幕戦でも3位表彰台に上がった好調さを維持しています。

第2位は現在のワールドチャンピオン、マティアス・ドルダラー選手。

1位に遅れること僅か0.047秒差の54.651です。室屋選手は54.933というタイムで4位を記録しました。

室屋選手は決勝1回戦の「ラウンド・オブ・14」では、予選11番手のペトル・コプシュテイン選手と対戦します。

なお、今回の予選では1位のマクロード選手から5位のホール選手迄が0.4秒以内、1秒以内には8人。13位の選手でも1.7秒以内に続いています。2秒のペナルティを受けると、優勝からほぼ最下位近くに簡単に転落です。

そして、2回目のアタックの際、ゲート3,11直後のバーティカルターンの際に風の影響を受け、セーフティライン(観客の安全の為に海岸側へ設定された飛行禁止区域)を越えDQ(予選失格)が続出、2度目のタイム更新を行えない選手が相次ぎました。

垂直上昇の際に仮想のセーフティラインを確認する事は不可能なだけに、風が勝負を左右する要因となっています。

6月4日決勝日も好天に恵まれました。開催された3年の予選・決勝を通して一番海上の視界が澄んでいます。

その一方で、決勝開始の午後から風が強くなる予報も出ています。

決勝1回戦の「ラウンド・オブ・14」では前日の予選1位と14位、2位と13位という上位と下位の組み合わせでノックアウト形式の対戦を行い、勝者が準決勝の「ラウンド・オブ・8」へ勝ち上がります。