筆者はマーチボレロA30のプロトタイプを追浜のグランドライブで試乗していますが、完成車の大きく張り出したブリースターフェンダーから、ただならぬポテンシャルを期待させます。
ドライバーの体をしっかりとホールドしてくれるレカロシートに腰掛け、触り心地のより革巻きステアリングを握ると、ワクワク度が一気に上昇します。
今回の試乗は、アンジュレーションや段差のある一般道で行いました。乗ってまず感じるのが、乗り心地の良さ。ボディ剛性の向上やストリートでの使用を重視したサスペンションシステムによって抜群の乗り心地を実現しています。
試乗コースの西湘バイパスは、路面のつなぎ目などがありバンピーなうえ、路面もガタガタで乗り心地が悪い部分があります。しかし、マーチボレロA30はそんな路面状況でも路面からの入力をいなしてくれ、非常にフラットな乗り味となっています。
そしてエンジンですが、「本当に気持ちイイ!」の一言につきます。アクセルを踏んでいくと、高回転までパワーの落ち込む部分がなく、気持ち良くレッドゾーンまで回ります。ただ、エンジンの回りが気持ち良すぎるため、ミッションがもう一段欲しくなるシーンもありました……。
最近では国産車でも最高出力600psというハイパワーなクルマもありますが、このマーチボレロA30の150psはドライバーが楽しく使い切るベストなパワーだと思います。誰が乗っても扱えるようにボディやサスペンションがセッティングされており「思わずにやけてしまう走行性能」に偽りはありませんでした。
2016年は日産とプリンスが合併して50周年を迎えます。航空機系の企業だったプリンスはスカイラインなどがモータースポーツシーンで活躍した自動車メーカーでした。そして今年創立30周年を迎えるオーテックジャパンの初代社長はプリンス出身でスカイラインの父を呼ばれた櫻井眞一郎さんです。
30台の限定車であるマーチボレロA30には、メイドイン茅ヶ崎の職人の誇りと高い技術力というプリンスのDNAが息づいているのを感じました。
(萩原文博)