運転席に座るとソフト過ぎないシートクッションが長距離ドライブでも姿勢が崩れず運転できそうな気にさせてくれる。バックレストの高さも高めで安心感があって良いと思った。
メーター類はハンドルの上に見える。割とアップライトにポジションを取りたいミニバンらしい自然なレイアウトだ。Aピラーは交差点などでの安全確認がしやすいように細めにデザインしている。Aピラーは細くなっても、その手前のAダッシュピラーとともに衝突安全は確保してあるという。
市街地走行では信号待ちのときのアイドリングストップは、エンジンが止まるときも再始動するときもとてもスムースで良い。
乗り心地は市街地走行程度のスピードではソフトに感じる。路面の凹凸をうまく吸収し、ゴツゴツ感を感じない。不整路面での当たりも丸く家族を乗せるクルマとしてなかなか良い。高速道路のスピードになっても基本は良かったのだが、路面の継ぎ目などではダンッと強めの衝撃が伝わってくるから、高速でのハーシュネスは改善の余地がある。
ハンドリング性能はミニバンとして充分に合格ラインを超える。ハンドルのニュートラル付近の遊びは大きくないし、切った分だけハンドル角に比例した反応がある。スポーツカーのようにシャープな反応にしていないところがミニバンをわきまえていて良いと思った。
最近のクルマだなあと思ったのは、USB端子が室内に6ヶ所もあるところ。2列目でも3列目でもスマホに充電ができるようになった。また給油口のキャップがないことも日本車では新しい。もちろん給油口の蓋はあるが、その中の口にキャップが付いていないから、給油ノズルをそのまま突っ込めばいい。欧州車では珍しくないが、日本でも最近セルフスタンドが多くなってきたから、オーナー自身が給油作業をすることになるが、そんなときでもやり易くすると同時に、キャップの閉め忘れを防止する効果もあるから、これからの新型車では増えていくだろう。
家族が乗るミニバンとして良くできているから、再び販売台数のトップに返り咲くのは間違いないだろう。たくさん売れて儲かったらやってもらいたいことがある。それはパワーウインドウのオート化だ。今は運転席だけだからこの装備を家族のために全窓に拡大して欲しい。手や首を挟んだりする事故も防ぐ効果はオートならあるのだから。スライドドアは両手がふさがっていても足を手前に引く動きを察知して自動で開けることができるのに、パワーウインドウは先進ではなかった。
(文:菰田 潔/撮影:前田恵介・冨士井明史)