ミニバンマーケットで6年連続トップという記録を持つ日産セレナは、モデル末期になってもベスト3に入る健闘を見せていた。そして2016年夏、オールニューになって新型セレナが登場した。新型セレナでトップを奪回できるだろうか。早速試乗したのでインプレッションをお伝えしよう。
競争の激しいミニバンのマーケットでトップを取るためには、ユーザー視点でのクルマ創りが重要だ。先代もその前もセレナは建前ではなく、ユーザーが実際に乗るときに使いやすいクルマを作ってきた。過去にはアイドリングストップもいち早く導入し、企画者が自ら使うシチュエーションを想定して、「塾お迎えモード」なる他車にないアイドリングストッププログラムも設定した。
今回は家族がテーマになっている。実際に家族で使うときに便利なシステムやデザインが施されている。
それはシートが重要な役目を果たしている。3列目までシートがあっても、実際に3列目に乗ると窮屈で長い時間乗っていられないミニバンも少なくない。しかし新型セレナの3列目シートはシートの前後長も2列目と遜色ないし、バックレストの高さに不満はなく、ヘッドレストレイントも高くなり3列目シートに乗る屈辱感はない。2列目シートの工夫により3列目への乗り降りもしやすくなっているところが良い。
それは2列目シートのシートベルトがインテグレーテッド(シート内臓型)になったになっているからだ。2列目シートの窓側の席のショルダーベルトがピラーから伸びてくるのではなく、シートのバックレストの上から伸びているからだ。2列目中央席でも同じで、2列目は3人ともインテグレーテッドシートベルトにより安全性を確保される。
2列目のセンターの部分は座面とバックレストが一緒にスライドし、前席の間に滑り込む。その間を抜けて3列目に行くこともできるが、もっと賢いのは3列目のシートを横にスライドさせることができるから、左側のシートを中央寄りにすることで、人が乗っているときでも3列目に乗り込むことができるという点だ。しかも2列目の人がシートベルトをしたままで。2列目はISOFIXのチャイルドシートも取り付けられるが、子供がチャイルドシートに座ったままでも3列目への乗り降りができるという芸当ができるのだ。普段は子供が乗っている2列目をそのままにして、おじいちゃん、おばあちゃんが3列目に乗り込むことができるというわけだ。