提携解消に至ったVWとスズキのリアルな舞台裏とは?

スズキの言い分は「提携時の内容と話が違っていた」とのニュアンスですが、VWのスズキとの提携条件は当初から不平等な内容だったというもの。

例えば「スズキがVWのエンジンを搭載してもスズキ車として販売できず、VWブランドでのみ販売可能で、かつ他社へのOEM供給も不可」、「VWがスズキに財務的、経営方針上、重大な影響を与える事ができる」といった提携後に判明したとされている事項がそれにあたります。

現在はっきりしているのはVWの提携目的がインドで成功したスズキの小型車開発技術と、同社が持つアジア市場であり、「イコールパートナー」などという意識は毛頭無かったと思われる点。

VW_PassatSOLIO_2015

スズキは今回の提携解消で2009年12月にVWに譲渡した自社株の19.9%を買い戻すにあたり、当時のスズキの株価に対して現時点の株価が約2倍の約4,600億円にまで跳ね上がっていることから、2,000億円以上の損失が発生、逆にVWは2,000億円以上の売却益を得ることに。

ブルームバーグによると、鈴木修会長は30日の会見で「経験不足だった。反省している」 「今後は自立して生きていくことを前提に考える」と述べたと言います。

会長の弁のとおり、同社がこれまで大手外資との提携に依存する形で利益を上げて来たのは事実。

今後は環境技術などでも自社開発を中心に据え、開発費が大きく嵩む部分については必要最小限の範囲で国内他社との提携を模索するなど、会社経営を揺るがすような外資との大型提携は避けるものと予想されます。

尚、VWはスズキが提携後にフィアットからディーゼルエンジンの供給を受けた事が契約違反としてスズキに損害賠償を求めている件については引き続き仲裁において審議が続けられるようです。

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Avanti Yasunori

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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