タイヤ交換に戸惑いを見せたグッドスマイル 初音ミク SLSがフロントタイヤに不調を訴えます。なんとナットが完全に閉まっていなかった様子。これによりスロー走行でのピットインで大きく順位を落としてしまいます。
CR-Zがピットインし、実質トップのままピットアウトすると、その後ろにはすでにドライバーチェンジを終えたStudie BMW Z4が後を追います。この頃のタイムは1分39秒台というファステストラップで、その周辺のタイム、CR-Zよりも0.5秒ほど速いタイムでの周回を重ねていきます。そこからジリジリとタイムを詰めていくZ4。しかし富士にも魔物が棲んでいたのです。
なんとGT500マシンに接触され、左フロントタイヤをバースト!ホイールだけになりながらピットに戻りタイヤチェンジをして戦線に復帰するも、左フロントサスペンションのダメージは想像以上に大きく、次の週でピットイン、そしてリタイアとなってしまいました。
そんな荒れ模様の中、ジリジリと順位を上げてきていたのが、ウェイトハンデ78kgプラス性能調整ウェイト10kgというとんでもないウェイトを積んでいた10号車GAINER TANAX GT-R。千代勝正選手はこのウェイトハンデが、まるで何事もなかったかのように果敢に攻め込んでいきます。
今回のGAINER TANAX GT-RはあわやQ1落ちか?という予選順位を、Q2通過者のうちの一台がペナルティーとなって降格したために、繰上げでQ2進出するなど、かなりの運も持っていたようです。
GT500も含めて、とにかく接触、コースアウトが続出したレースですから、終盤に差し掛かるとパーツの破片などの、いわゆるデブリがコース上に散乱してきます。自分が避けても前走車が飛ばしてくるかもしれないという恐怖が付き纏う事でしょう。これもまた魔物といえます。
そして、この魔物の餌食になってしまったのが33号車Excellence Porscheと、7位を走行し、このまま走りきれば初のポイント獲得となるはずだったシンティアム・アップル・ロータス。ストレートでデブリを踏んでしまいタイヤバースト。ほぼ一周をタイヤ無しで走りきるのは不可能との判断でコースサイドにマシンを停めてしまいます。
そんなドラマが繰り広げられた富士300km。優勝は前述のARTA CR-Z GT、2位にはよくぞ生き残ったの感が強いLEON SLS。そして3位はGAINER TANAX SLSと続きます。
ここまでお読みになって、「あのクルマがいないぞ?」と思った方も多いと思います。そう、シリーズランキング2位のB-MAX NDDP GT-R。スタート周の第一コーナーで、86号車Racing Tech Audi R8と接触。そのままリタイアとなってしまいました。実はこのときにはすでに、このサバイバルレースの予兆があったのかもしれません。
この富士300kmレースの順位により10号車GAINER TANAX GT-Rのアンドレ・クート選手がシリーズランキングトップのまま、2位の3号車B-MAX NDDP GT-Rをポイントで大きく引き離しました。
次戦は鈴鹿1000km。約6時間に及ぶ最大の長丁場レースでは、いったいどんなドラマが繰り広げられるのか。開催は8月29、30日です。
(写真:吉見幸夫 文:松永和浩)