「ドライバーには我慢をしてもらった」というその効果は抜群で、結論を言ってしまえばポールポジションから一度もその座を譲ることなく独走の優勝。
しかしドライバーは背中の直近にあるエンジンの熱と戦いながらの走行となり、チェッカー後パルクフェルメにマシンを停めた小林選手は真っ直ぐ立つことができなくらいに疲弊していたのが印象的でした。本当の意味で「命をかけて」勝利をもぎ取ったのです。
独走態勢だったCR-Zを追いかける2位以降も熾烈極まる戦いを見せていきます。序盤から65号車LEON SLS、61号車TOYOTA PRIUS apr GT、7号車Studie BMW Z4、0号車グッドスマイル初音ミク SLSの4台が2位争いでポジションを奪い合う展開。
しかし60kgのウェイトを積んだプリウスは若干息切れをしたのか、ジリジリと順位を下げていき、LEON、Studie 、初音ミクの超接近戦へと進んで行きます。
ここでこの集団に追いつき、バトルに参加するのは11号車GAINER TANAX SLS。ベンツ3台とBMWの、毎周ごとに順位が入れ替わるというとんでもないバトルに、コーナーごとの観衆からは絶叫とため息が入り乱れる不思議な歓声が聞こえてきました。
その2位争いの集団のすぐ後ろでは、もうひとつの信じられない光景を目の当たりにします。岡山で優勝し、第2戦富士では4位、タイでもポイントを獲得したPRIUSに、今期序盤低迷していた2号車シンティアム・アップル・ロータス が襲い掛かります。
タイ戦でその頭角を現し、決勝こそ11位のポイント圏外でしたが、Q1ではトップタイムをマークしたロータス。その進化はまぐれではなかったことを証明するかのごとく、攻めすぎくらい攻めた走りで、PURIUSを接触ギリギリの猛プッシュ。ピットタイミングではなく、走りでPURIUSを抜き去ります。この時、CR-Zに匹敵する1分40秒台のタイムで周回を重ねていたのです。
その頃から各車ルーティーンのピットインでドライバーチェンジ。そこからまたドラマは急展開となっていきます。