再スタート直後の第一コーナー。時速300km/hから70km/hまで減速するようなブレーキングスポットで、なんと#6 ENEOS SUSTINA RC FがKONDO Racingの#24 D’station ADVAN GT-Rに追突!こんな状況での追突は、さすがの佐々木大樹選手でもカバーしきれずに痛恨のスピン。このときGT-Rは右のリアフェンダー後端とリアディフューザーを損傷してしまいます。
このアクシデントにより大きくポジションを落としてしまいますが、走行は可能。緊急なピットインこそ避けることは出来ましたが、リアセクションの空力パーツが機能をしないという過酷な状況で、佐々木大樹選手は我慢を強いられる走行を続けながら39周目に規定のピットイン。
短い時間で給油、タイヤ交換、そしてリアセクションを応急修理するなど、華麗なピットワークを見せたKONDO Racingのピットクルー。#24 D’station ADVAN GT-Rはルーカス・オルドネス選手にドライバーチェンジをし、再びコースへと旅立ちます。
500kmという長丁場のレース。タイヤカスなどによりコースは次第に荒れていきます。そんな状況下、オルドネス選手は今年からGT500に乗り始めたとは思えないドライビングで40周以上を走りきり、83周目に佐々木選手へ再びマシンを返すという大役を務めきります。そして再びステアリングを握る佐々木大樹選手。完全に直りきってはいないマシンをドライビングし、フィニッシュを目指します。
日も西に傾き、雲も多くなってきた富士スピードウェイ。路面温度は次第に下がってきており、荒れた路面と相まってタイヤグリップも下がってきます。慎重に、そして大胆に、佐々木選手はひとつもあきらめることなく、手負いの狼と化した#24 D’station ADVAN GT-Rとともに11位でチェッカーを受けます。あきらめることなく走り続けることでKONDO Racingの#24 D’station ADVAN GT-Rは完走を手に入れることが出来たのです。
完走かリタイヤか──これは大きく違います。メンタルな部分を抜きにしても、完走はチームポイントが付与され、チームとしてのシリーズチャンピオンへの道としては絶対にあきらめてはいけないところです。その完走を含めた勝負へのこだわりがチームをひとつとし、#24 D’station ADVAN GT-Rをチェッカーフラッグへと導いたのです。
次戦は、昨年2位となっているタイ戦。マレーシアのセパン戦のころから海外戦に強いKONDO Racingには大きな期待が膨らみます。
(写真:吉見幸夫 文:松永和浩)