トヨタ86は「頭文字D」がなければ絶対に生まれていない!

■収益性と継続性、そしてAE86の教えが大切!

一方、世界一の絶対性能というよりも、ドライビングの楽しさを追求したのが、マツダロードスターとトヨタ86/BRZです。

マツダの貴島さんは、「以前多田さんが“役員会でスポーツカーのプランが通らない”と言って、広島まで聞きに来ました。私が“スポーツカーは、儲かるクルマにしなければいけない”と話したら、ビックリして帰っていきました。スポーツカーの開発はエンジニア冥利に尽きますが、収益が上げるプランにしないと次に繋がらないのです。」とコメント。筆者は、初代ロードスターがトラックの灰皿を流用するなどしてコストを抑えたこと、また現在も2人乗り小型オープンスポーツカー累計生産のギネス世界記録を更新していることを思い出しました。(ロードスターも世界一ですネ!)

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トヨタの多田さんは「トヨタの役員会でスポーツカーの企画を通すには、絶対的な速さが必須でした。」と嘆きつつも、「“頭文字D”のAE86のおかげで、速さとは異なる新しい価値観を訴求できるようになった。トヨタ86は、スピードで一番とか、凝ったハードウエアというよりも、AE86が長く愛されている理由を勉強して開発しました。」とコメント。

そして「もし“頭文字D”がなかったら、トヨタ86は絶対に生まれていません!」という熱い証言が、開発責任者本人から飛び出したのです! 

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「トヨタ86は、頭文字DとAE86が影響している!」とは、読者の誰もが感じていたこと。でも同時に「道路交通法違反を助長するようなコミックが、世界一の自動車会社を動かせるはずがない」というつまらない常識が頭を覆っていたのも事実。「もし“頭文字D”がなかったら、トヨタ86は絶対に生まれていません!」という多田さんのコメントに、筆者はシビレまくりました!

「頭文字D」の「D」は、まさしくDreamの「D」。トークショーでは、数多くの苦難の道に挑み難問を克服してきた開発者の「D」が溢れていました。

(拓波幸としひろ)