2014年6月4日に決勝が行なわれる、今年のル・マン24時間耐久レース。開幕からトヨタが2連勝しているWEC(世界耐久選手権)の中心的イベントとして、参加チームやメーカーがマシンメイクに尽力する一方で、様々なアピールの舞台となっています。
さて、今シーズンからWECのトップカテゴリーといえるLMP1Hクラスにエントリーしているポルシェ。そのマシンである「919ハイブリッド」は、V型4気筒ターボエンジンに熱回収と減速エネルギーによる発電機構を持たせ、A123製リチウムイオン電池に溜める4WDハイブリッドシステムを搭載しているのも特徴です。
ハイブリッドカーは走りながら発電するクルマという面もあるわけですが、ではル・マンの24時間決勝レース中においてLMP1Hマシンは、エネルギー回収・回生によってどのくらいの電気を生み出すのでしょうか。
ポルシェの試算によると、仮に決勝レースでのラップ数を2013年の優勝マシンが走り抜けた348周と想定した場合、919ハイブリッドが生み出す電力量は581.2kWhなのだそうです。
日本の一般家庭における消費電力は一か月で250~300kWhといいますから、まさに2世帯分の電力量を走りながら発電するというわけです。
また電気自動車(VWゴルフの電気自動車版)の電費性能で計算すると、581.2kWhというのは4576kmの走行が可能な電力量に相当するといいます。24時間のレース中に、たった一台のLMP1Hマシンから生み出される電力は、それだけ多いのです。
もちろん、こうした電力は走りで消費してしまうわけですが、これほどの電力量ですから、ちょっとしたアシストというレベルではなく、圧倒的な速さに直結することは想像に難くありません。
また、耐久レースの重要なポイントである燃費にもハイブリッドは有利。同等のパフォーマンスで計算すると、およそ30%も消費燃料は減らせるとアピールしています。
まさに、現代的なエコカーの究極的テクノロジーがレーシングハイブリッドには込められているといえそうです。
■関連記事
ポルシェ「919ハイブリッド」をジュネーブモーターショーで世界初公開
https://clicccar.com/2014/03/05/248618/
トヨタのスーパーHV「TS040 HYBRID」がWECで2連勝!
https://clicccar.com/2014/05/05/254865/
VW「e-ゴルフ」画像ギャラリー ─ 東京モーターショー2013出展車が2014年発売
https://clicccar.com/2013/12/03/239071/
(山本晋也)