狭い日本のどこでキャンピングカーを使うのか?

個人的な話から入って恐縮ですが、以前から外で飲み食いするのが好きで、クルマでキャンプやバーベキューにはたびたび出掛けていました。

お酒を飲むことになるので必然的に泊まりとなるんですが、そうするとそれが可能なのはほぼキャンプ場しかないんです(最近でこそ手ぶらで、電車で行ける公園のバーベキュー場もありますが)。

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そういった趣味が高じてキャンピングカーを買いました。

ところが、キャンピングカーを買ったらどこでもキャンプができるようなイメージが沸くものの、実際にはそうではありませんでした。

人のいない山奥や海辺でキャンプできなくはないですが、ハッキリ言って怖いです。いまどき空き地で自由にキャンプをするわけにもいきません。

そうなると、高いお金を出して買ったキャンピングカーを、わざわざお金を払ってキャンプ場に入るのもシャクだし、それでもせっかく買ったキャンピングカーには寝たい、ということで車中泊するようになりました。

つまり、キャンピングカーを買ったらキャンプしなくなったんです、皮肉なことに。

そのとき感じていたのは、キャンピングカーを買ったらフツウのクルマや、場合によっては電車で手ぶらで行っても問題ないような至れり尽くせりのキャンプ場じゃなくていい、けれど道の駅で「快適に仮眠」するだけのためにキャンピングカーを買ったワケじゃない。もっとサッと行って気軽にキャンプを楽しめる場所が欲しい、ということでした。

そんなユーザーの気持ちは、キャンピングカー業界では百も承知だったようで、日本で主にキャンピングカーの製造や販売をする業界団体である日本RV協会では、そのような使い方を提案、増やしているそうです。

RVパークと呼ばれるその施設は、「安心・快適な日本RV協会認定の車中泊施設」とされており、2014年2月10日時点の提携施設数は全国に17施設あるそうです。

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基本的には有料で車中泊ができる場所、ということですが、電源を確保し、キャンプ場のように屋外でバーベキューなどの調理はできない前提です。多くのキャンピングカーが外部電源を接続でき、キッチンとシンクが設備されているのを日本ではキャンピングカーとされているので当然とも言えます。

RV協会が定義するRVパークは以下のようになっています。

ゆったりとした駐車スペースで、一週間くらいの滞在が可能
24時間利用が可能なトイレ
100V電源が使用可能
入浴施設が近隣にあることが望ましい
ゴミ処理が可能
入退場制限が緩やか 予約が必須ではないこと

これは、キャンピングカーで車中泊をしたことがある人には「よく心得てくれている」と言えるものです。入浴施設は実にありがたいことです。

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当面の目標は100カ所程度の開設、ゆくゆくは1000カ所を目指すと言います。1000カ所というとスゴい数のようにも思えますが、道の駅の数は既に1000カ所を超えています。

最初の話に戻りますが、キャンプはキャンピングカーでもフツウのクルマでもなんでもOKです。むしろ、自然の中で寝ることに歓びを感じられるのは背中に地球を感じられるテント泊だと言い切れます。

キャンピングカーは究極の「たびぐるま」と思ったほうがいいと思います。キャンプにも使えて、車中泊にも使えて、もちろんやや不便かも知れませんが普段の移動にも使える。

そう考えるとキャンピングカーがますます欲しくなった人も多いのではないでしょうか。

(小林和久)

<外部リンク>
RVパーク http://kurumatabi.com/rvpark/

RV協会 http://www.jrva.com/

この記事の著者

小林和久 近影

小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務めた。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
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