今回の予選は完全なドライコンディション。天気予報はレースとなる翌日も晴れなので、各マシンはドライだけを想定したセッティングで望むことになりました。雨天でより速さを発揮するDTECチーム・マスターワンにとっては、少しだけ残念な天気です。
それでも最終戦、坂本選手の意気込みも高まっていました。なにしろここまで6つのレース、最終的な順位は右肩上がりなのです。前戦オートポリスでは6位でしたから、当然その上を期待したいところで、坂本選手もまたその勢いで上位入賞を果たしたいと考えていたのです。
予選は92台というエントリー台数だったので、2つのグループに分けて実施されました。その予選スタート、チームのマネージメントもあって、真っ先にコースへと出ることができました。前を走るマシンが居ないという状況は予選のタイムアタックでは優位なのですが、陣取り合戦のような感じになっていて、これまでは実現しませんでした。
しかし思うようにラップタイムは伸びません。そうしているうちに、遅めにコースインしたマシンに追いついてしまい、クリアなラップが取れなくなってしまいました。結果はAグループの予選12位。スタートは23番グリッドからになってしまいました。これは予選順位として、今シーズン最も悪い結果です。
予選トップタイムは谷口選手が記録しました。2番手は織戸選手、これまで最速を誇ってきた山野選手は3番手になりました。そこには谷口選手と織戸選手が履くヨコハマタイヤが、大きく進化したためです。他のメーカーを圧倒してきたブリヂストンタイヤを超える性能を発揮していたようです。
この予選はいろいろな波乱もありました。スーパー耐久などで活躍しているプロのドライバーが予選落ちしてしまうほど、難しいものだったようです。路面温度は意外に低く、それでもブレーキには厳しく、他のサーキットとは異なるストップ・アンド・ゴーのコースレイアウト、という要件が波乱を生んだのでしょう。
86/BRZレースで使用しているマシンは、ナンバー付きということで、多くの部分でノーマルマシンと同じパーツを使っています。もちろん、そのほとんどはレースを前提に設計されていないので、耐久性の面でも機能の面でも不足している場合もあるわけです。
ツインリンクもてぎは、ほとんどのコーナーで大きな減速が必要になる、いわゆるストップ・アンド・ゴーという性格のコースです。だからブレーキに対する負担がとても大きくなります。
金曜日の練習走行で、すでにフロントのブレーキが発熱し過ぎる傾向はありました。走行後のマシンはディスクブレーキが真っ白になるほどだったので、おそらく700度は超えていたことでしょう。コースには86/BRZレースのマシンから出た、ブレーキパッドが焼ける臭いが充満していました。
ツインリンクもてぎでは、そのブレーキの弱さを上手くコントロールして、レースを戦うことが重要になりそうです。
(岡村 神弥)