米調査会社「オートデータ」のまとめによると、8月の米国新車販売台数は150.3万台(前年同月比+17%)と前年実績を27か月連続で上回っており、金融危機以前の高い水準を維持しています。
米連邦準備理事会(FRB)が9月4日に発表した地区連銀経済報告によると、「米国の経済活動は穏やかなペースで拡大が続いてる」としており、新車市場では雇用の伸びや自動車ローン利用の条件緩和を背景に、低年式の乗用車やピックアップトラックの買い替えが活発化している模様。
8月度の米国ブランド別 新車販売ランキングでは前年比+20%超えの日本車勢の好調ぶりが目立ちます。
「ランキングTOP 20」の中で日本勢は2位トヨタ 23万台(+23%)、4位 ホンダ 17万台(+27%)、6位 日産 12万台(+22%)、9位 スバル 4万台(+45%)、11位 MAZDA3万台(+26%)といった状況で、各社共に大健闘。
米国総販売台数のうち日本車が59万台と約40%のシェアを占有しており、中でもスバルが新型「フォレスター」の好調で高水準な伸びを示しています。
また、2013年1-8月の米国販売累積で見ても、総販売台数1065万台(+9.6%)のうち、日本車が396万台と全体の37%のシェアを占めており、好調ぶりを窺わせます。
こうした高い伸びの背景には各メーカーが多額のインセンティブ(販売報奨金)で販売をテコ入れしている実情も有るようで、8月の販売ランキングで2位に入ったトヨタ「カムリ」の報奨金は1台当たり平均約25万円と、前年同月の18万円を上回る過去最高水準に達している模様。
一方、米国に於ける中型セダンの報奨金の平均は1台当たり約22万円で、特に米ビッグ3(GM、フォード、クライスラー)の場合は約30万円と高額とか。
このように各社が米国での新車販売に鎬(しのぎ)を削る中、新聞報道によると、8月に前年度比で45%もの大きな伸びを示したスバルは旺盛な需要に対応する為、米インディアナ州の工場を拡張中と言います。
またトヨタ自動車も8月30日、2015年前半までに米ウェストバージニア州TMMWV工場を含め、100億円以上を投資して生産能力を増強すると発表。
これに伴い、TMMWV工場の6速ATミッション生産ラインは年産50万基から74万基に増強されると言います。
同工場の従業員数は現在1300人。北米生産の「アバロン」、「カムリ」、「ハイランダー」「シエナ」「ヴェンザ」の他、レクサス「RX350」向けにATミッションを供給しており、今回の設備増強で更に100人を追加雇用。
トヨタ自動車が直近の21カ月で北米地域の製造拠点に投資するのは今回で11回目となり、投資総額は約2100億円で4000人以上の雇用を創出したとしています。
このように日本の自動車大手の投資の矛先は新車需要が高まっている米国に向けられており、軽自動車人気のあおりを受けて登録車の生産能力を持て余している国内市場とは裏腹に、その勢いはこの先も当分続きそうな情勢となっています。
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