トヨタ「SAI」の新CMに真木よう子が選ばれた理由とは?

トヨタのハイブリッドセダン「SAI(サイ)」がマイナーチェンジを受け、新たなCMキャラクターには女優の真木よう子さんが選ばれ、発表会で登壇しました。

SAI_YOKO_MAKI_201308291

マイナーチェンジで発表会を行うのは珍しい事ですが、それだけイメージチェンジを図りたいというのが読み取れるところです。

そのSAIのイメージとは、車両の位置付けではプリウスのセダン、というところですが、いかんせんセダンというのが日本のマーケットでは特殊なポジションのようになっています。

昔の子供(現在の40代以上)だったらクルマの絵を描いてと言えばまずほとんどがセダンを描いていたはずです。ところが数年前の子供(30代以下でしょうか)からはミニバンの絵を描いていると言われます。セダンは普通のクルマでなくなってきた、とも言えるのかもしれません。

ところが、メルセデスベンツやBMW、アウディなどは相変わらずセダンのイメージが強く、結果的にステータスのあるクルマとしてセダンが選ばれることになっています。

つまり、セダンは一部の営業車や昔からクルマに乗っているシルバー層以外は、お金を持っている、世間一般で言う成功しているような人が欲しがるところにしかマーケットは見込めないと言えるでしょう。

これまでのSAIは環境に優しく使い勝手がいい愚直なまでにマジメなセダンというのが売りでした。しかし、それでは振り向いてくれない。ということで、そこにカッコよさ、モテるクルマというイメージを吹き込みたかったのです。

それで選ばれたのが真木よう子さんなわけですね。真木さんはご覧のように綺麗で、でもちょっと影があるような、男女間がぐちゃぐちゃになっているようなドラマにも出ていました。

そんな真木さんを起用する事で、ちょっとだけ不倫願望があるような、ホントは遊んでみたいんだけど、といった妄想を想起させるようなシーンにも似合う、古い表現ですがチョイ悪を兼ね備えていると表現したいのでしょう。

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SAI_201308291発表会は、真木さんが登壇するテレビや一般誌をへの露出を期待したと思われる一部と、SAIのエンジニアリングを開発主査が紹介する専門誌や経済誌向けと思われるマジメな二部に分かれていたのも少し変わったパターンでした。

前半では、バラエティ番組や芸能系Web向けで難しい話はナシ、後半ではSAIのホントにマジメなクルマ作りを紹介するという、割り切り交際ならぬ割り切り発表会とでも表現できそうなお披露目の場も、今度のSAIのキャラクターを表現していたのかも知れませんね。

(小林和久)

 

 

この記事の著者

編集長 小林和久 近影

編集長 小林和久

子供の頃から自動車に興味を持ち、それを作る側になりたくて工学部に進み、某自動車部品メーカへの就職を決めかけていたのに広い視野で車が見られなくなりそうだと思い辞退。他業界へ就職するも、働き出すと出身学部や理系や文系など関係ないと思い、出版社である三栄書房へ。
その後、硬め柔らかめ色々な自動車雑誌を(たらい回しに?)経たおかげで、広く(浅く?)車の知識が身に付くことに。2010年12月のクリッカー「創刊」より編集長を務める。大きい、小さい、速い、遅いなど極端な車がホントは好き。
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