自動車各社の第1四半期(4-6月)の決算が出揃いつつある中、財務省が製造業に携わる大企業1,684社、中堅企業813社、中小企業1,372社の計3,869社を対象にした法人企業の景気予測調査を実施。
それによると、自動車産業が属する「製造業 大企業」のBSI(企業の景況感を示す景況判断指数)は+5.0%ポイントと景気感が大きく回復しており、年内の景気見通しも+16%ポイントを超える伸びが予測されています。
一方で「製造業 中小企業」のBSIは-12.9%ポイントの状況で、依然景気回復の途上である事が読み取れます。
また「設備投資」も企業活動が本格的に活発になったかどうかを測る有効な指標。GDP(国内総生産)を構成する主要な要素の一つで、政府の消費税増税の判断にも大きな影響を与える為、注目されます。
主要大企業が国内へ設備投資することで、中小企業の雇用・賃金に反映される流れとなる訳ですが、日銀が纏めた「金融経済情報」によると、「減少傾向だった設備投資は企業収益が改善する中で既に下げ止まっており、持ち直しに向かう動きも見られる」としています。
設備投資は昨年10~12月まで減少した後、4-5月にかけて増加傾向。 また、設備投資の先行指標である機械受注についても、昨年10~12月まで減少を続けた後、1-3月でほぼ横ばいへと移行、4-5月で増加に転じています。
このように「製造業 大企業」では年内も引き続き大幅な増益が続く見通しで、「製造業 中小企業」に於いても大企業に比べればペースは緩やかなものの、年内には増益へ向かうとの予想。
しかし、日銀内には2013年度の製造業の設備投資計画は景況感改善の割には例年に比べてさほど大きな伸びとはなっていないとの見方も有り、景気の好循環の勢いがまだ弱いとの声も。
耐久消費財の乗用車 新車登録台数推移を見ると、2012年9月のエコカー補助金終了後に一旦大きく落ちみ、今年に入って新車投入効果等で持ち直しつつある段階。
日本自動車工業会豊田章男会長は7月11日の記者会見で「本年1-6月の国内販売は前年同期で8%減となっており、国内の生産能力に余裕がある中、生産拡大に向けた設備投資は困難であると言わざるを得ない」としています。
これは自動車各社が2014年4月と2015年10月の2段階消費増税による国内市場の先行きを警戒している為で、さらにはTPP事前交渉で、既に大口輸出先である米国への自動車輸出関税撤廃が早期に実現しない事が判明したことや、超円高による為替差損で長らく大きなダメージを受け続けた教訓から、国内よりも為替に左右されない海外に設備投資を振り向けている事にも起因。
そうした中、産経新聞によると、自民党税制調査会が安倍首相の指示により、例年よりも税制改正作業の日程を大幅に前倒して設備投資減税の議論を先行するとの動きが有る模様。
政策支援で、国内企業が抱える280兆円に上る内部留保を引き出す狙いが有るとみられ、企業収益の拡大を設備投資に結びつけて景気回復の裾野を広げる事が出来るかが、アベノミクスの今後の焦点となりそうです。
■日本銀行 金融経済情報
http://www.boj.or.jp/mopo/gp_2013/index.htm/
■財務省 財務総合政策研究所
http://www.mof.go.jp/pri/
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