こちらはホントに自分で発電するクルマ、三菱自動車の技術的集大成アウトランダーPHEV発売開始

三菱自動車は、2013年1月24日より「アウトランダーPHEV」を発売開始することを発表しました。

発表によれば『i-MiEVで培ったEV技術、ランサーエボリューションで鍛えた4WD技術、パジェロで築いたSUVのノウハウを結集した、画期的な“自分で発電する電気自動車”であり、SUVタイプとして世界初のプラグインハイブリッド車』ということです。まさに同社の培ってきた様々なテクノロジーの集大成といえる、EV由来のプラグインハイブリッドカーです。

2012年9月に技術発表されていた通り、その中身は前後に同じ最高出力のモーターを配した電動4WDを基本としています。エンジンは2.0リッター4気筒ガソリンでジェネレーター(発電機)とつながっています。床下には電気自動車さながらに12kWhものリチウムイオンバッテリーを搭載。

ちなみに、100%電気自動車として知られる日産リーフのバッテリー総電力量は24kWh。プラグインハイブリッドとしては先輩格にあたるプリウスPHVは4.4kWhですから、三菱自動車が電気自動車から生まれたプラグインハイブリッドカーというのも納得できるというものです。

駆動モーターは前後とも60kW(82PS)と最高出力は共通ですが、ユニットそのものは異なっていて、最大トルクはフロント:137N.m、リヤ:195N.mという数値からもわかるように、リヤのほうが強力なモーターを搭載しています。なお、フロントタイヤはモーターだけでなく、エンジンで駆動するモードも持っています。さらに、前後の駆動力制御と左右輪のブレーキ制御を組み合わせた車両運動統合 制御システム「S-AWC(Super All Wheel Control)」を採用しています。電動車両ならではのレスポンスに優れた制御が注目点です。

 

走行モードはモーターとエンジンの使い分けにより3モードを備えていますが、ドライバーが選択する必要はなく、走行状況やバッテリー残量に応じて、最適な走行モードを自動的に選んでくれるということ。その3つの走行モードは、バッテリーの電力を使ってモーター駆動する「 EV走行モード」、エンジンを発電専用に動かし、モーター駆動する「シリーズ走行モード」、エンジンをメインでタイヤを駆動させ、モーターがアシストする「パラレル走行モード」となっています。

 

電気自動車というと航続距離の短さがネックとされますが、このアウトランダーPHEVはエンジンによって発電して駆動できるので、燃料満タン、バッテリー満充電からの航続可能距離は897km(JC08モード)と、通常のガソリンエンジン車と同等。それでいて、外部充電による電力の積極的な活用などにより、プラグインハイブ リッド燃料消費率(複合燃料消費率)は67.0km/L(JC08モード)を達成。バッテリーからの電力に頼らないハイブリッド燃料消費率も18.6km/L(JC08モード)となっています。

なお、バッテリー充電時間は、200V(15A)の普通充電で約4時間、メーカーオプションの急速充電では約30分(80%)ということ。また、スペースの関係からガソリンエンジン車には備わる3列目シートがなくなり、乗車定員は5名。

 

グレード構成は、ベーシックなE(受注生産)、実用的な装備を与えられた「G」、先進安全技術「e-Assist(イーアシスト)」を標準装備した「G Safety Package」、カーナビゲーション等を追加した「G Navi Package」、本革シート等の快適装備も充実した「G Premium Package」の5グレード。メーカー希望小売価格は3,324,000円~4,297,000円。上限43万円の平成24年度クリーンエネルギー自動車等導入促進対策費補助金を考慮すると、ガソリンエンジンモデルに対して実質45万円高というレベルに収まるということです。

●主要諸元
全長×全幅×全高:4655mm×1800mm×1680mm
ホイールベース:2670mm
タイヤサイズ:225/55R18
車両重量:1770~1820kg
乗車定員:5名
駆動方式:ツインモーター4WD

(山本晋也)

この記事の著者

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山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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