実は燃費は季節モノ! ベストは10〜11月なのだ!!

〈MONDAY TALK星島浩/自伝的・爺ぃの独り言16〉 燃費論議を続けていたら、地方に住む友人が問い合わせてきたので燃費が良くなる時季に関し、私の実用範囲で検証を交えてお話する。

 

 実用燃費は1年の内、10月~11月が一番良くなる。エアコン=ヒーターが働かなければ、湿度が低い12月にも好燃費が得られる。

 エンジン好調、クルマが軽くなったように思えるほどで、エアコンを使わない時季が実用燃費良好だ。まずは谷田部のJARI(財団法人・自動車研究所)で毎月ロードテストに参加していた頃の話から始めたい。

 

 快晴、無風。前夜から晴れて気温10℃前後の朝8時頃。やや肌寒いが、吸入空気は気圧が高めで冷たいほうが充填効率は向上してパワーを発揮させやすく、霜が降りる5℃まで下がると冷えすぎだが、コース路面は放射冷却されて微かに湿っている状態が理想的だ。微かに湿った感触が望ましい訳は、掌に息を吹きかけるのと同じ理屈。タイヤを通じて回転力がムダなく路面に伝わる。たとえ、ごく薄くても水膜ができるほど濡れていたのでは、スリップロスが出るからダメ。

 好条件が揃うと、ゼロヨンや0-1000m発進加速、最高速度ばかりか、制動性能だってメーカーの社内データを上回った。

 

 動力性能や制動力で有利な条件はテストコースに限らない。一般公道も同じ道理で、顕著に実感するのが燃費というわけだ。

 

                                    

 ニューモデル試乗記で燃費を報告する例は少なくないが、走った季節、天候、道路条件を勘案しないで読み取ってはいけない。私も同罪だ。誌面の都合もあり、走行条件記述をつい忘れてしまう。

 実際、谷田部同様、東京近辺でも実用燃費が最も良くなるのは10月下旬~12月上旬。晴れた日が多く、外気導入するもののエアコンを働かせないし、窓を開けて走ることもない。逆に燃費が落ちるのは6月から9月半ばまで。エアコンかけっ放し、雨天が多いのも一因だ。

 涼しい秋と暑い夏では実用燃費がどのくらい違うだろうか。

 

 実験したのは昨年夏。ジムカーナコースではないが、郊外道路を模した1周500mほどでカーブが6個所ある。そこをミラ・イースで回りながら、1周ごとの燃費を同乗係員に計測してもらった。

             

                  ダイハツ・ミライース

 

 普通に走ると15.5㎞/L。若い衆のつもりで速めに走ったら14.5㎞/L。気温35℃の猛暑日とあってエアコンかけっ放し—-試しにエアコンOFFにしたら、なんと19㎞/Lに伸びたのに驚く。

 暑くて堪らず、運転席の窓を開けると即17㎞/Lに落ちて二度びっくり。車速40㎞/h前後でも空気抵抗が燃費に及ぼす影響の大きを思い知る。それが12月に自動車専用道と主に郊外を200㎞ほど、のんびり走ったら22㎞/Lだったから、三度びっくりした。

 私は複数保有期間を含めて初代インサイトに12年間乗り続け、生燃費20.2㎞/Lを自慢しているが、細かく言うとエアコンを使わない秋期は22㎞/Lを超え、真夏の暑い時季だと19㎞/Lを割る。走行時間は都内が長く、距離は高速道路がうんと長いが、都心では秋18㎞/Lが夏は16㎞/Lに。8月半ば、首都高渋滞区間で10㎞/L台に落ちたのが最低記録。最近サボっているが、5、6年前まではトリップ計をこまめに切り替えて確認した。

            

                  ホンダ・初代インサイト

 

 因みに最高25.2㎞/Lをマークしたのは、高輪の仕事場を出て芝浦から湾岸道路、アクアライン経由で、試乗会場=かずさアカデミアホテルまでの往復。12月の穏やかに晴れて暖かい日だった。80㎞/h制限の海底トンネル内で空気抵抗が小さいのも有利に働く。

 

 断っておく。私は優良運転者じゃない。80歳の爺ィのくせにノロノロ走りが苦手。プリウスではなく初代インサイトを選んだ理由も、環境適応性はタテマエ。ホンネは比較的速く走らせてもガスを食わないことだった。最近やっと実用で20㎞/Lを超えるクルマが出てきたようで、買替え候補にアクアPHVを挙げている。むろん茨城の隠居小屋に充・給電設備を整えるのが先決。機種追加は来春以降かしら。ニッケル水素をリチウムイオン電池に代えなきゃなるまいし———。★