圧倒的なコスパにビックリの「VW up !」はアソコもユニーク !

最近、VWがスイス山岳部を含む1200㎞を3日がかりで走破するという大掛かりな試乗会を開催したそうですが、そのクルマとは話題沸騰中のLupo後継車「up !」。
そのネーミングも先代「Lupo」の中抜き2文字で実にユニーク。

 

見た目には特に何てことはない普通な感じのコンパクトハッチですが、走らせてみるとこれが僅か1Lの3気筒エンジン(75ps)搭載車ながら、かなり侮れないものを持っているようです。

と言うのも、価格が日本円で約100万円~150万円のクルマなので、ともすれば日本の軽自動車位のものと思いがちですが、そうではないのがいつもながらVWの凄いところ。以前に現行Poloが登場した際も外観からは想像できない高品質ぶりに多くの注目が集まったように、今回も色々とビックリさせられる事が多そうです。

例えば小排気量の3気筒エンジンながら構成部品精度の向上で振動が殆ど無く、高回転まで気持ちよく回るであるとか、長距離でも殆ど疲れないシート、高速では兄貴分のPoloをも脅かすスタビリティーの高さやフラットな乗り味、更には実用で軽く20km/Lを越える燃費など、またもや色々と美点満載のようです。

 

そんな驚きのコスパを誇る今回のup !ですが、個人的にアレッ?と思ったのがリヤドア構造。冒頭の画像を御覧下さい。何がってリヤドアガラスが一枚物で、どう見ても理屈上、下がりません。通常は「デビジョンバー」と称する仕切り桟が有って桟より前側のみが昇降する構造。

ところがup !にはその桟が見当たりません。ハテ・・・? もしやリヤドアガラス全体が固定?などと職業柄、思わず不思議に思っていたら何とこれが横開きのロック式だったのです。
つまり2ドア車で普通に使われているこの構造を4ドア車のリヤドアガラスに応用したと言うワケ。 それを成立させる為にフレーム枠一体式ドア構造を採用していたのです。

 

その理由は勿論、コストセーブ。リヤドアガラスの開閉頻度は一般的に少ないのでそこに目をつけ、ガラスの昇降機構を廃止、シンプル設計にしたと言う訳です。後席乗員にとってはむしろ目障りな桟が無く、見晴らしも良いというオマケ付き。

前代未聞のこのコストセーブ・アイテムには思わず唸ってしましました。実は自身の愛車である3代目Polo GTIもフロントドアガラスはパワー、リヤは手動というユニークな仕様なのですが、up !は更に一枚上手。

他にもチョッと見ただけでは気付かない上手なコストセーブ・アイテムが隠されているかもしれません。それはともかく、秋頃と噂される5ドア版(ロボタイズドAT仕様)の日本導入が益々楽しみになって来ました。

Avanti Yasunori

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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