日産『JUKE-R』が開発中に突然公開されたワケとは?

既報のとおり、欧州日産が「JUKE」のRバージョンを開発中である事を正式発表しました。GT-Rのパワートレーンを移植したワンオフ物だそうで、改造中の動画も既に出回っています。

さて、このクルマ、何故日産が今、唐突に開発中である事を発表したのでしょうか? その理由について考察してみたいと思います。

http://www.motortrend.com/future/future_vehicles/1107_subaru_wrx_to_go_its_own_way/

以前に触れたとおり、スバルの次期「WRX STI」がインプレッサから独立して1.6L 300ps仕様へ移行、またVWも1.6L 300ps 4WD仕様の「Polo R」で2013年にWRC出場を表明するなど、各社は何やらWRC(世界ラリー選手権)参戦に向けた準備に余念が無いようです。

ご存知のとおり、2011年よりWRCのレギュレーションが改定され、エンジン仕様が「1.6L+ターボ、最高出力300ps以下」に規制されました。これを踏まえた仕様で各社がWRC参戦用マシンを開発中という訳です。

JUKE-RはNTC-E(日産テクニカルセンター・ヨーロッパ)が製作を担当、V6ツインターボ(3.8L 480ps)仕様の4WD 6速仕様で20インチホイールもGT-Rから移植。

車内には何故かロールゲージが張り巡らされており、11月には最初のテスト走行を予定しているとか。しかしながら、手間をかけて製作している割には今のところ市販予定は無く、様子見だそうです。

JUKEと言えば欧州でも小型クロスオーバーとして人気車種で、市販モデルには1.6L 4WD仕様のターボ付きモデルが存在します。最低地上高も高く、しかもリヤサスにはマルチリンクが奢られており、ダートの走破性も高そうです。

つまり、このJUKEというクルマ、WRC参戦用にうってつけのベース車。他社がWRC参戦を宣言する中、日産がこのJUKEをベース車に参戦を計画していても何ら不思議ではありません。

残る疑問は何故レギュレーションに収まらないGT-Rのパワートレーンを使っているかです。想像するに、どうせJUKEでWRC参戦するなら、1.6L仕様の正規モデルが仕上がる前にインパクトの有るマシンをワンオフ製作する事で、前宣伝がてら世界の視線をJUKEに集めておきたい・・・そう考えたのではないでしょうか。

さて、皆様の推測は如何でしょうか?

(Avanti Yasunori )

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この記事の著者

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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