いつの間にかデカくなったコンパクトカーVW Golf、そのルーツを探る!

Golfの初代モデルと現行モデルを比べると、かなりボディサイズが大型化しているのは誰もが感じているところ。本来コンパクトカーの筈なのに一体いつの間にこんなに大きくなってしまったのでしょうか?

それを知るには各モデルの発売期間と車両サイズの変遷を調べる必要が有ります。そこで、変化が一目で判るように全長、全幅、ホイールベース毎に可視化してみました。結果を順に見ていきましょう。まずは全長から。

一般的なイメージとして、GolfⅤ辺りでググッと大きくなったように感じるかもしれませんが、意外や意外、実は1983年のGolfⅠ→Ⅱの段階で早くも260㎜も急成長していました。次いで1997年に発売されたGolfⅢ→Ⅳでまたまた135㎜全長が伸びています。

そう、意外に早い段階で急成長していた事が判ります。弟分として登場したPoloもほぼタイミングを合わせるかのようにⅠ→Ⅱで213㎜、Ⅲ→Ⅳで165㎜全長が伸びており、両車共に80年代序盤と90年代終盤の2段階で急成長を遂げています。では何故このタイミングだったのでしょうか?

世界景気のバロメーターであるGDPや株価指数の推移と比較してみると、面白い事が判ります。VWが大型化を計画していたと思われる時期と、世界の景気上昇のタイミングがほぼリンクしています。VWが早くから進出していた中国の景気動向もその背景に有ったかもしれません。恐らく当時、ボディサイズを大きく立派にして居住性を上げる事で、それが車両価格上昇に繋がったとしても販売台数拡大に寄与するとの判断だったのでしょう。

一方、VWのラインナップ拡大戦略の観点で各サイズの変遷を見ると、Poloがタイムラグは有るものの、モデルチェンジの度に大きくなるGolfの代役を担っている事が判ります。また全幅、ホイールベースを含めて全体を通して見ると、現行PoloⅤがGolfⅢとほぼ同等サイズとなっている事や、Lupoが初代Poloの代役を担っていた事が判ります。

このように可視化してみるとVWの戦略がおぼろげながらも見えてくると共に、2度に渡ってボディサイズが急拡大しているにも拘らず、それを感じさせないデザインの匠技の存在も浮き彫りに。実は歴代GolfもPoloも遠目で見ると相似形で、その大きさの変化を感じさせないデザイン・マジックが使われていたのです。現行モデルまでボディサイズが拡大した事でそれが流石に目立って来たというところでしょうか。

GolfやPoloオーナーは今一度このような目で愛車を見直してみるのも良いかもしれません。
ちなみに噂では次期Golfは更に拡幅されるとか・・・ これって今の時代、どうなんでしょうか。

こちらも併せてお読み下さい。 https://clicccar.com/2011/06/23/35723

(Avanti Yasunori )

【画像がすべて見られない方は>>> https://clicccar.com/51828 】

この記事の著者

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Avanti Yasunori

大手自動車会社で人生長きに渡って自動車開発に携わった後、2011年5月から「clicccar」で新車に関する話題や速報を中心に執筆をスタート、現在に至る。幼少の頃から根っからの車好きで、免許取得後10台以上の車を乗り継ぐが、中でもソレックスキャブ搭載のヤマハ製2T‐Gエンジンを積むTA22型「セリカ 1600GTV」は、色々と手を入れていたこともあり、思い出深い一台となっている。
趣味は楽器演奏で、エレキギターやアンプ、エフェクター等の収集癖を持つ。
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