今年1月~5月に日本に導入された輸入車の中でAudiを含めると約40%近くを占めるVWグループ。ここ10年位の販売推移を振り返ってみると、各社が2009年の金融危機で販売数を落とした際にも安定的、且つ着実に販売を伸ばしているAudiの下支えが光っています。
(数値は輸入車新車登録台数速報を使用)
http://www.jaia-jp.org/j/stat/nc/
VWは9つの自動車ブランド、19ヶ国に44工場を所有する多国籍企業で、2010年度の世界販売数は720万台。そもそも現在の規模になるまでに,企業統合という手段で販売台数を増やしてきています。 2002年にAudi,最近ではポルシェなどが記憶に新しいところ。
以前には1991年にシュコダ(チェコ),1993年にセアト(スペイン),1998年にベントレー(英)とブガッティ(フランス),1999年にランボルギーニ(イタリア)といった著名メーカーを既に傘下に収めています。
VWの企業統合の目的は単なる販売数の増大だけでは無く、傘下に入れた異なるジャンルの車に共用プラットフォームを提供して、グループ全体としてコストダウンを図る事。 つまり、良い物を一つ作ってそれを多くの車種間で流用するというポリシーにあります。
例えば現行VW PoloとAudi A1のプラットフォームが共通。 また、Golfのプラットフォームに至ってはVW傘下の車種を含めて年間 200万台以上も生産されるそうな。
要は日本のカーメーカーが考えるコストダウンとは発想が異なり、車両価格に見合った安価なパーツを使って、安い車を作るのでは無く、むしろ高級なパーツを大量の車種に流用する事で量産効果が生まれ、それがコストダウンに繋がり、ひいては販売数が増えて収益が向上するという好サイクルを生み出しているのです。
それが小型車のAudi A1にも顕著に現れており、見てのとおり、誰もがその作り込まれた高級感に感嘆&納得せざるを得ない凄みを醸し出す事に繋がっています。目の肥えたユーザーはそういう所を見逃しません。そういった質感の高さがVW全体の売上げを確実に押し上げている理由と言えそうです。
画像のグラフが示すとおり、中国での販売台数が2009年比で37%増しと大躍進中のVWグループですが、弱点も存在しており、一度は敗退した米国でのリベンジが待ち受けています。米国生産の新型PASSATや秋に投入予定の新型Beetleなどで大攻勢をかける模様。日本やインド等でもまだまだ弱小(世界販売の1%レベル)で今後どんどんテコ入れするに違いありません。
(参考) VW報道資料 の数値を引用
2010年度 (2009年度)
世界シェア 11.4% (11.2%)
(全体) 13.7%増の720万台 (629万台)
(中国) 37.4%増の192万台 (140万台)
(西ヨーロッパ) 11.6%増の185万台 (166万台)
(中東ヨーロッパ) 10.8%増の42.3万台 (38.2万台)
(北米) 20.9%増の36万台 (29.8万台)
(インド) 181%増の5.33万台 (1.9万台)
(日本) 23.0%増の4.67万台 (3.8万台)
こちらも併せてお読み下さい。 https://clicccar.com/2011/06/20/35221
(Avanti Yasunori )
【画像がすべて見られない方は】 https://clicccar.com/35723