電気自動車はモーターで走るクルマじゃないとすれば!?

電気自動車といえばモーターによって走るクルマというイメージでしょうか。

 

エンジン車をEVにコンバートするときに、スペース的にエンジンをモーターに載せ替えているので、機能としてもエンジンをモーターに置き換えていると感じている人は少なくないかもしれません。

 

しかし、じつはモーターをエンジンに置き換えてしまうのは、ある意味では間違いなのです。

 

マイナーチェンジして2グレードになったアイ・ミーブにより、その間違いがハッキリしました。

既報の通り、新しいアイ・ミーブにはバッテリーの違いによってMとGという2グレードが誕生しましたが、このグレードの違いは航続距離(Mが120km、Gが180km)だけでなく、モーター出力も異なっているのです。

 

Mの最高出力:30kW/2000~6000rpm 最大トルク:180Nm/0~1000rpm

Gの最高出力:47kW/3000~6000rpm 最大トルク:180Nm/0~2000rpm

 

このパワーの違い、エンジン車の感覚でいえば異なるエンジンだったり、片方がターボ仕様だったりするくらいですが、アイ・ミーブのスペック表で確認すれば、モーターは同じY4F1型で、定格出力も25kWと同一。

 

単純にいえば、アイ・ミーブのグレードにおける最高出力の違いはバッテリーに由来するといえます。

 

つまり電気自動車においてパワーの源となるのはバッテリーで、モーターはあくまで電気エネルギーを運動エネルギーに変換しているにすぎないという見方もできるというわけ。その意味では、エンジン→バッテリー ミッション→モーター という風に置き換えられているといえるかもしれません。

 

たしかに「エンジンをモーターに置き換えた……」という風に表現したほうがわかりやすい面もありますが、これから電気自動車が増えていくことを考えると、パワーの源がどこにあるのか、どの部分の違いが出力に影響を与えるのか。

 

バッテリーが強力ならパワフルというほど単純でないにせよ、あらためて捉え直す必要が出てきそうです。

 

なおスペック表に書かれている範囲でいえばバッテリーの違いは以下の通り。

M:電圧270V 総電力量10.5kWh

G:電圧330V 総電力量16.0kWh

(山本晋也)

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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