内気循環15分でウイルスを99.8%以上除去するエアコンフィルター「くるますく」とは?

■ウイルスを物理的に破壊するフィルター

ホンダの純正用品などを販売しているホンダアクセスから、ウイルスを除去するという驚きのエアコンフィルターが登場しました。しかも、アルコールや塩素系化合物などの消毒薬を使うのではなく、物理的にウイルスを破壊するというのだから驚きです。

くるますくとフィルター
手前のグレーの製品が「くるますく」。奥はフィルターに「くるますく」を被せた状態

「くるますく」と名付けられたこのフィルターは、クルマのさび止めにも使われている“リン酸亜鉛化成処理”という技術を活用して製造されています。もともと使用している材料と技術を工夫することで、フィルター表面に鋭利な突起を作り、ウイルスがそこに刺さり破壊されるというプロセスです。

エアコンそのものと交換するのではなく、現在のエアコンに被せるようにして使うため、クルマ用エアコンのマスク「くるますく」というわけです。

くるますくアップ
「くるますく」は編み目状に織られた布のようなものがベース

●「くるますく」は編み目状に織られた布のようなものがベース

くるますく 機能イメージ
「くるますく」の機能イメージ

2020年のコロナウイルスがまん延しはじめた頃、ホンダは患者搬送車の開発やフェイスシールドの生産を急ピッチで進めました。

そうした活動のなかで継続的に社会に貢献できるさまざまなアプローチにトライし、生まれてきたなかのひとつの成果が、この「くるますく」だと言います。

開発を担当したのは四輪事業本部ものづくりセンターで、ホンダアクセスが製造販売を担当します。通常なら、アイデアの立案から開発、製造、販売までに長い月日が掛かるこうした製品ですが、急ピッチで進めた結果、1年を待たずに販売にこぎ着けたとのこと。

くるますく除去時間
15分の作動で99.8%のウイルスが除去できたという
くるますく突起サイズ
突起の大きさで除去できるターゲットを変更可能。「くるますく」はウイルスに特化したサイズの突起を採用する

クルマのエアコンフィルターの上に被せ、内気循環で15分間エアコンを作動させると、車内に存在するウイルスを不活性化できるといいます。

数種のウイルスに対しテストした結果、99.8%以上の除去が可能であったという結果がでています。新型コロナウイルスに関しては、ウイルスの入手や管理の難しさもありテストが行われていませんので、新型コロナウイルスに効果ありとは謳っていませんが、類似したウイルスに対して効果があったとのことなので、筆者は個人的に大きな期待を持っています。

まずは、新型N-BOX(含むカスタム、スロープ仕様車)用が7040円で2020年12月から発売となります。順次、車種を広げていくとのことですが、家庭用エアコンや空気清浄機への展開も期待したいところです。

(文・写真:諸星陽一)

くるますく概要ボード
「くるますく」の概要が記載されたボード。説明会でも多くのプレスが感心を寄せていた。ディーラーでも注目を浴びそうだ

この記事の著者

諸星陽一 近影

諸星陽一

1963年東京生まれ。23歳で自動車雑誌の編集部員となるが、その後すぐにフリーランスに転身。29歳より7年間、自費で富士フレッシュマンレース(サバンナRX-7・FC3Sクラス)に参戦。
乗って、感じて、撮って、書くことを基本に自分の意見や理想も大事にするが、読者の立場も十分に考慮した評価を行うことをモットーとする。理想の車生活は、2柱リフトのあるガレージに、ロータス時代のスーパー7かサバンナRX-7(FC3S)とPHV、シティコミューター的EVの3台を持つことだが…。
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