ライバル不在! 時代を超えて人気が続く個性派の国産車【マツダ・三菱・スズキ編】

■ロードスターやジムニーなど一匹狼ロングセラーモデル

時代は変われど、最初のコンセプトを守りつつ長い年月を生産され、気がつけばライバルすらいなくなったクルマたち。海外には、そんなモデルは多いのですが、国産車にはあまり多くありません。

ですが、稀少ながら未だに多くのファンを魅了し続けているモデルは存在します。

ここでは、そんな“孤高”ともいえる存在のモデルたちの中から、マツダや三菱、スズキが誇る「生きる伝説」とも言えるクルマを紹介します。

●マツダ・ロードスター

国産名車の中でも、ライトウェイトスポーツの代表格といえるのが「ロードスター」です。

競合モデル不在の国産車
マツダ・ロードスター

初代NA型が登場したのは1989年。当時マツダが展開していた販売チャンネルであるユーノスの名前が与えられ、「ユーノス ロードスター」という名前で販売されました。

また、海外ではMX-5ミアータという名前で発売され、世界中で大ヒットを記録。

発売翌年1990年の世界販売台数は9万台以上、1998年には累計生産台数が53万台を超え、2シーターオープンスポーツカー単一車種におけるギネス記録にも認定されています。

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初代モデルのユーノス ロードスター

ロードスターの大ヒットにより、1990年代中盤以降には、他メーカーからも「トヨタ・MR-S」「BMW・Z3」「フィアット・バルケッタ」など同コンセプトのクルマが発売されました。

しかしBMWのZ3がZ4として生き残ってはいますが、そのほかはあえなく絶版に。一方で、マツダはロードスターを作り続け、2015年に現行の4代目・ND型を発表。

2019年には生誕30周年を記念し、専用色のレーシングオレンジを採用した特別仕様車「ロードスター30周年記念車」も登場しています。

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ロードスター30周年記念の特別限定車

ちなみにND型のエンジンには、高圧縮比で燃焼効率と燃費性能を向上した直噴式の1.5L・直列4気筒「スカイアクティブ-G 1.5」を搭載。ラインアップにはソフトトップモデルのロードスター、電動ハードトップ(リトラクタブルハードトップ)仕様のロードスターRFがあります。

また、2019年11月にはマイナーチェンジも行われ、先進安全機能アドバンスSCBSが夜間歩行者検知機能に対応するなどの一部改良も施されています。

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マツダ・ロードスターRF

●スズキ・ジムニー

50年もの歴史を誇る「ジムニー」は、軽自動車の本格的クロスカントリー4WD車というジャンルでは、唯一無二のモデルです。

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スズキ・ジムニー

初代がデビューしたのは1970年。以後、軽自動車で同コンセプトのモデルはなかなか出ませんでしたが、1994年に「三菱・パジェロミニ」、1998年には「ダイハツ・テリオスキッド」といったライバルが出現。

これら2台も一時期は高い人気を誇りましたが、テリオスキッドは初代が出ただけで2012年に絶版、パジェロミニも2代目が2017年に生産終了となっています。

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1970年に発売された初代ジムニー

スクエアなボディに丸型ヘッドランプといった伝統的のスタイルを踏襲した現行モデルは2018年に発売。再び大ヒットを記録しているのはご存じの通りです。

エンジンには専用チューンの直列3気筒ターボを搭載し、最高出力64馬力/最大トルク96Nmを発揮。

新開発のラダーフレームや、路面状況に応じて2WDと4WDを任意に切り替えて走行できる機械式副変速機付きパートタイム4WDなどの採用で、悪路での高い走破性も実現しています。

●スズキ・アルトワークス

専用チューンのターボエンジンなどを搭載した、スズキが誇る5ドアハッチバック軽自動車が「アルトワークス」です。

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スズキ・アルトワークス

初代モデルは1987年に発売。大衆車の「アルト」をベースに、最高出力64psという当時としては驚異的ハイパワーのターボエンジンを搭載。

多くのクルマ好きから支持を受けて大人気となり、1980年代に盛り上がった軽自動車のハイパワー競争を牽引するモデルとなります。

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1987年に登場した初代アルトワークス

当時のライバルには、ダイハツの「ミラ TR-XX」や三菱の「ミニカ ダンガン」などがあり、いずれも高出力のターボエンジンを搭載し、アルトワークスを追撃。

ところが、結果的にこのパワー競争が仇となります。事故増加などに対する配慮から、軽自動車の最高出力をアルトワークスの64psまでに抑える自主規制が敷かれ、排気量が550ccから660ccに引き上げられた今でも続いているのです。

また、時代の流れから軽自動車にはパワーよりも快適性などがより求められることとなり、ライバルたちは軒並み生産終了に。

アルトワークス自体も一旦は生産終了となりましたが、2015年に現行モデルが発売され、見事復活を果たしました。

現行モデルでは、最高出力64ps/6000rpm・最大トルク10.2kgf-m/3000rpmを発揮する水冷直列3気筒インタークーラーターボのR06A型エンジンを搭載。

専用チューニングの5速オートギヤシフト(5AGS)仕様と、ショートストローク5速MT(マニュアル・トランスミッション)仕様があり、足まわりには専用チューンのサスペンションなどを採用。

スポーティな走りが楽しめる数少ない軽自動車として、今でも根強い人気を誇っています。

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現行モデルの5速MT仕様のスポーティなインテリア

●三菱デリカD:5

オフロード走破性が高い「ミニバン」といったコンセプトを持つ「デリカD:5」は、登場して以来ライバルが1台も存在しないという、かなり個性派のクルマです。

競合モデル不在の国産車
三菱デリカD:5

元々は1979年に発売されたワンボックスカーの2代目デリカに、4WDモデルが追加されたのがはじまり。同社のパジェロと同様、乗用4WD車の先駆けとなりました。

その後1994年には、D:5の前身ともいうべきモデル「デリカ スペースギア」が発売され大ヒット! 13年間も販売されるロングセラーモデルになりました。

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2代目デリカ

2007年に登場した現行のD:5も、幾度もマイナーチェンジは受けていますが、基本設計は発売当初と基本的に変わらない長寿モデルです。

エンジンには、4気筒2.2Lインタークーラーターボを搭載し、最高出力145ps/3500rpm・最大トルク38.7kgf・m/2000rpmを発揮。

8速スポーツモードATの採用や、路面状況に応じて4輪のグリップを制御する電子制御4WDシステム「AWC(All Wheel Control)」などを搭載し、高い悪路走破性を実現します。

競合モデル不在の国産車
デリカD:5のインテリアはタフなイメージが魅力

また、2019年にはビッグマイナーチェンジを敢行。衝突被害軽減ブレーキシステム「FCM」、車線逸脱警報システム「LDW」、レーダークルーズコントロールシステム「ACC」などの安全運転支援システムが追加されています。

ラインアップには、より洗練されたデザインの「デリカD:5 URBAN GEAR(アーバンギア)」も用意されています。

競合モデル不在の国産車
デリカD:5アーバンギア

(文:平塚直樹/写真:マツダ、三菱自動車、スズキ)

この記事の著者

平塚 直樹 近影

平塚 直樹

自動車系の出版社3社を渡り歩き、流れ流れて今に至る「漂流」系フリーライター。実は、クリッカー運営母体の三栄にも在籍経験があり、10年前のクリッカー「創刊」時は、ちょっとエロい(?)カスタムカー雑誌の編集長をやっておりました。
現在は、WEBメディアをメインに紙媒体を少々、車選びやお役立ち情報、自動運転などの最新テクノロジーなどを中心に執筆しています。元々好きなバイクや最近気になるドローンなどにも進出中!
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