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■パワステの普及によって多機能化が進む
●スポーク部にオーディオ系や走行制御系などの操作スイッチを装備
ステアリングホイールは、日本ではハンドルと呼ばれているクルマの進行方向を制御する操舵部品です。最近は単なる操舵の役目だけでなく、スポーク部にオーディオ系や走行制御系などの各種スイッチが装備され、制御パネルの役目も果たしています。
最新のステアリングホイールの特徴や機能について、解説していきます。
●基本構造
ステアリングホイールは、ドライバーが両手で回転させる円形のリム、ステアリングシャフトと連結している中央のハブ、リムとハブを連結するスポークで構成されます。
ステアリングホイールの回転が、シャフトを通してギヤボックスで減速されながら左右の動きに変換されて、タイヤの向きが変わります。
・レトロな雰囲気を醸し出す木製リムを採用しているクルマもありますが、金属補強した樹脂製リムが主流です。グリップ部には、ウレタンや合成皮革、本革が巻かれています。
・スポーク部には、オーディオやオートクルーズ、安全支援技術などの各種スイッチが取り付けられ、ステアリングから手を離さずに操作できるようになっています。
・ハブには、ホーンとエアバッグモジュールが内蔵されています。
●さまざまなステアリングホイール
ステアリングの大きさ(径)については、特に規定はありません。操作しやすく、ドライバーの邪魔にならない程度ということで、乗用車系ではほぼ同じくらいの大きさ(外径37~39cm程度)に設定されています。
ステアリングの径が大きいと、テコの原理で回転トルクは小さくなりますが、手動の操作距離は長くなります。一方、径が小さいと回転トルクは大きくなりますが、操作距離は小さくてすみます。
タイヤ径が大きく車重の重いトラックやバスは、操作トルクを下げるため大径のステアリングを使用し、レーシングカーやスポーツカーは小さな操作角でクルマが俊敏に反応するように小径のステアリングを使っています。
最近、スバル車など一部の市販車で円形でなくD型のステアリングを採用するクルマが登場しています。
D型のステアリングは、コックピットが狭いF1などのレーシングカーでは、乗降性が容易なため採用されています。ステアリングギヤ比が小さく操作角が小さいので、ステアリング操作で両手を持ち替える必要がないためです。
市販車でD型ステアリングを採用すると、ステアリング操作で両手を持ち替えるので操作に違和感が出ることが予想されます。特にメリットはあるように思えませんが、デザイン性と乗降性の良さでしょうか。
●ステアリングホイールのポジション調整
ステアリングのポジションは、ドライビングポジションに関係するので重要です。運転しやすいように適正な位置になるように、通常はポジション調整機構が付いています。
ステアリングの上下方向の調整ができるのがチルト機構、前後方向の調整ができるのがテレスコピック機構です。両方の調整ができるチルト・テレスコピック機構もあります。
多くは手動式ですが、最近は電動タイプの調整機構も登場しています。
パワステの普及によって操舵操作が楽になったおかげで、ステアリングに多くの操作スイッチが装着できるようになりました。利便性だけでなく、運転中に手を離さずにさまざまな操作ができるようになり、安全性の向上にも貢献しています。
自動運転になったら、ステアリングホイールがなくなると言われていますが、そうなったら最大の楽しみがなくなるので、もうクルマとは呼べないのではないでしょうか。
(Mr.ソラン)