ダイハツ・タントが軽自動車販売トップの座を奪還。N-BOXは2位に【週刊クルマのミライ】

■前年同月比190%、11月での2万台オーバーは驚き

全軽自協(一般社団法人 全国軽自動車協会連合会)より、2019年11月の軽四輪車 通称名別 新車販売速報が発表されました。「ランキングを見るまでもなく、トップはホンダ・N-BOXでしょう」という状況が2年以上続いていたのですが、ついにトップが入れ替わりました。

N-BOXを2位に押しやり、ダイハツ・タントが1位となったのです。

ダイハツ・タントの後ろ姿
助手席側がBピラーレスなのはダイハツ・タントの特徴。価格帯は1,243,000円~1,908,500円

●2019年11月 軽四輪車 通称名別 新車販売速報 トップ10
1位 ダイハツ・タント 2万1096台(前年同月比190.0%)
2位 ホンダ N-BOX 1万8806台(同96.5%)
3位 スズキ スペーシア 1万2820台(同108.5%)
4位 日産 デイズ 1万2137台(同106.3%)
5位 ダイハツ ムーヴ 6775台(同59.2%)
6位 スズキ ワゴンR 5868台(同80.6%)
7位 スズキ アルト 5712台(同97.1%)
8位 ダイハツ ミラ 5459台(同59.6%)
9位 スズキ ハスラー 4924台(同104.4%)
10位 三菱 eK 2487台(同70.1%)

消費税増税の影響もあって、軽四輪車全体としての販売台数は前年同月比90.6%の14万7015台、乗用車だけに絞っても前年同月比94.4%の10万9922台とけっして好調というわけではありません。その意味ではN-BOXは前年同月比で減といえども平均よりは売れているといえますが、だからこそ前年同月比190.0%というタントの躍進は目立ちます。

新型タントは「DNGA(ダイハツ・ニュー・グローバル・アーキテクチャー)」により、シャシーもエンジンも一新されています。それだけ力の入った開発だったわけですが、その理由について開発者に尋ねたところ「軽自動車に強いダイハツとしては販売ナンバーワンをずっと他社に取られているのは悔しいという気持ちがないといえば嘘になります」といった声を聞いたことがあります。まさに悲願のトップ奪還というわけです。

ダイハツ・タントカスタム
グリルは大きいが、メッキパーツを控えめにしたタントカスタム

2019年11月にダイハツが販売した軽四輪車は4万9359台(前年同月比95.0%)でした。つまり、タントによって販売台数を引き上げたというよりは、タントに人気が集中しているという状況です。それは5位のムーヴが前年同月比で59.2%となっていることからも明らかです。

その意味では、タントがトップになったといっても、もろ手を挙げて喜べないかもしれませんが、ダイハツのクルマが軽四輪車の販売トップになったという事実に、販売や開発最前線にいるスタッフの士気は上がっていることでしょう。

他メーカーの前年同月比でいえばスズキは94.1%、日産は101.4%。N-BOX頼りのホンダは76.1%、三菱は74.6%となっています。単月のデータでトレンドを判断することはできませんが、ホンダの顧客が他ブランドに流れている傾向が感じられます。

もっともホンダについてはフルモデルチェンジしたばかりのN-WGNがパーキングブレーキの問題で生産を止めているため、ほとんど売っていません(11月は前年同月比2.3%の94台)。顧客が流出しているのではなく、N-WGNを待っている顧客が多くいる状況であれば、生産が再開されたときにランキングやシェアに大きな動きがあることは容易に想像できます。

2019年は、日産・デイズ/三菱eKワゴン&クロス、ダイハツ・タント、ホンダ・N-WGNと軽自動車のビッグネームにフルモデルチェンジが相次ぎました。そして、2020年にはスズキ・ハスラーのフルモデルチェンジが予想されています。軽自動車マーケットに、ますます活発な動きが見れそうです。

はたして、販売ランキングにはどのような変化が起きるのでしょうか。

(山本晋也)

この記事の著者

山本晋也 近影

山本晋也

日産スカイラインGT-Rやホンダ・ドリームCB750FOURと同じ年に誕生。20世紀に自動車メディア界に飛び込み、2010年代後半からは自動車コラムニストとして活動しています。モビリティの未来に興味津々ですが、昔から「歴史は繰り返す」というように過去と未来をつなぐ視点から自動車業界を俯瞰的に見ることを意識しています。
個人ブログ『クルマのミライ NEWS』でも情報発信中。2019年に大型二輪免許を取得、リターンライダーとして二輪の魅力を再発見している日々です。
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