なぜ自動車メーカーは「モーターショー」ではなく、家電ショー「CES」を世界初公開の場に選ぶようになったのか?

2017年も自動車業界は慌ただしく始まっています。

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まずは、アメリカ・ラスベガスで行われ、年々その存在感を増す世界一の家電ショー「CES」。
1月4日からプレスデーが始まるので、日本から取材に行く人たちは正月明け早々、2日か3日には日本を発たねばなりません。

数年前までは、年始の自動車業界のご挨拶はデトロイトモーターショーからだったのに、日本でのメディアの取り上げられ方を見ると、今やデトロイトよりも「CES」のほうが注目を集めている様子。

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「CES」に自動車メーカーが続々出展している背景には、自動車に搭載される技術が自動車だけにとどまらないものとなっていることが挙げられます。音響システムやカーナビ、またスマートフォンなどの技術の応用、バッテリーやモーター、ほかに電子部品などが多数使用され、さらに太陽光発電パネルなどもあり、もはや「家電技術」が満載。そのため、自動車メーカーと異業種とがコラボする機会が増え、より多くのユーザーへのアピールなどが必要になっていることも考えられます。

また、デトロイトはこの時期、極寒で、しかもダウンタウンは治安も悪いため、ショー会場周辺のたった1ブロックさえも、徒歩ではなくタクシー利用を勧められるほど。それに比べて治安もよいうえ娯楽やホテル、レストランなどが充実し、気候もよいラスベガスに行く場所としても軍配が上がるのも当然の話なのかもしれません。

その先駆けになったのは、私の記憶では2011年、フォードが電気自動車「フォーカスエレクトリック」をCESで初公開。私はこの年、デトロイトショーに行きましたが、世界三大モーターショーのひとつである「デトロイトモーターショー」よりも、数日早く開催される「CES」で先に公開されたことに違和感を感じていました。またその時、CESでは「アウディ」が自動車メーカーで初めて、車載器でGoogle Earthなどが見られるNVIDIAのモバイルデバイス向けSoC「Tegra 2」の採用を発表。今に思えばここから自動車は一気にハイテク化への道を歩んだと思います。

そして今年のCESでは、トヨタが人工知能搭載車「Concept-愛i」を発表。人間のパートナーとしてドライバーの心理に反応してドライブモードを選択したり、ウインクをしたり、文字が表示されたり、寄り道をするなど、ドライバーと共に成長するクルマを世界初公開。
また、ホンダも人工知能(AI)とビッグデータ、ロボティクス技術を搭載しEVコミューターのコンセプトカー「NeuV(ニューヴィー)」を世界初公開。また、ライダーが乗っていなくても自立する二輪車「Honda Riding Assist」も公開するなど、ますます「モーターショー化」が進んでいます。

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モーターショー好きの私としては、来年こそ行かねば!

(吉田 由美)