マツダデミオ「i-ACTIV AWD」は雪の坂道でスタートできるのか?

さあ、気合を入れていきましょう!

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完全に止まった状態からハンドルをいっぱいにきってアクセルを踏んで発進すると……

あれれれれ……、えっそうなの?

何事もないようにスタートしちゃいました。もしかしてテストメニューが簡単すぎた??

試しに先代デミオの電気式4WD(後輪をモーターで駆動する)で同様に試してみると……。前輪が激しく空転しながらスタート。発進自体はできたものの、「i-ACTIV AWD」に比べるとかなりドラマチックです。もし後ろにクルマがいたらヒヤヒヤですね。

違いは、動画を見れば一目瞭然(動画の最後に今回のテストが記録されています)。

参考までにマツダではないメーカーのオンデマンド式4WDで試してみると、明らかに前輪が空転した後に後輪へトルクが伝わるのがわかります。いわゆる反応遅れってやつですね。まあスタートできることはできましたが。

というわけで、頑張らないと発進できない4WDもあるハンドルをいっぱいに切った状態での上り坂雪道発進で、何事もないかのようにするするとスタートしてしまったマツダ「i-ACTIV AWD」搭載のアクセラ。

見た目的には先代デミオなど他のシステムのほうが頑張っている感が満載なので、このアクセラはスムーズすぎて凄いんだか凄くないんだかよくわからないことになってしまいましたが、空転なしにスムーズにスタートできるということはトラクション能力が高いことのほかならぬ証明なのです。

そうそう、最近はESCのブレーキ制御を利用してタイヤの空転を止めてトラクションを高めようとする制御が流行っていますよね。それは4WDシステムの力が不足している部分を補う仕掛け。対して「i-ACTIV AWD」はその助けを借りることなく4WDの制御自体がトラクションを稼ぐように工夫されているという印象でした。いうなればパフォーマンスで勝負するのではなく、歌の上手さでアピールするアイドルみたいな感じでしょうか。

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発進能力に関してはもうフルタイム4WDと同様の水準ですね、これは。数あるトルクオンデマンド式4WDのなかでは最高レベルの実力といっていいですよ、これは。

(工藤貴宏)

この記事の著者

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工藤貴宏

1976年長野県生まれ。自動車雑誌編集部や編集プロダクションを経てフリーの自動車ライターとして独立。新車紹介、使い勝手やバイヤーズガイドを中心に雑誌やWEBに執筆している。現在の愛車はルノー・ルーテシアR.S.トロフィーとディーゼルエンジンのマツダCX-5。
AJAJ(日本自動車ジャーナリスト協会)会員。
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