デンソーが2500barの新製品を発売でクリーンディーゼルを支える「デンソーvsボッシュ」のコモンレール開発対決が激化!?

1995年にディーゼル用電子制御噴射システム「コモンレールシステム」を世界で初めて商用車向けに商品化したのはデンソーです。1997年に他社に先駆けて乗用車用を導入したのはドイツのロバート・ボッシュ社で、欧州車を中心としたクリーンディーゼル車を支えています。

130626-01aデンソーが2500barという世界最高の噴射気圧を開発

世界シェアで約50%を握るのは後発のボッシュ、デンソーは約15%といわれています。ちなみに、某欧州自動車メーカーは「環境技術はボッシュに任せておけばOK」といわんばかりの信頼ぶりの高さともいわれています。

今回、デンソーが発表こぎ着けた2500気圧(bar)のコモンレールは、燃料ポンプからインジェクターに送られる燃料のうち、一部が燃焼室に噴射されずにシステム構成部品の潤滑などに使用されたのちに、燃料タンクに戻されるという同システムの弱点を大幅に改良しています。

インジェクター、燃料ポンプ、コモンレール(蓄圧室)の構造を改良することで、燃料タンクに戻されていた燃料を従来よりも約9割も削減! これにより燃料ポンプの負荷を大きく低減しています。

さらに、部品の構造や材料を見直すことで高圧化を実現し、噴射する燃料を微粒子化することで、着火性と燃焼状態が改善され、燃費向上と排ガスの浄化に寄与するのが自慢。2500気圧の実用化で燃費を最大3%向上し、PM(粒子状物質)を最大50%、NOx(窒素酸化物)を最大8%削減することができるそうです。

今回の2500気圧コモンレールシステムは、乗用車や商用車などのクルマだけでなく、農建機などの分野にも展開することで、ボッシュを追撃し、シェア拡大の切り札として期待されています。さらに、今後は3000気圧コモンレールシステムの製品化を2020年までに目指すとのことから王者ボッシュに迫りたい構えです。

bosheボッシュも2500気圧のピエゾ式インジェクターを備えたシステムを高級車に搭載予定

迎えるボッシュも2500barのピエゾバルブ式を高級車向けに、2000barを普及価格帯モデルに搭載予定で、3000barも開発中。「EURO6」やアメリカの「Tier2Bin5」など年々厳しくなる排ガス規制に対する技術革新が止むことはありません。

(塚田勝弘)

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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