ミライースは、自らを「第3のエコカー」と銘打って登場しました。
ところで、第1と2は何だかご存知ですか?第1は「HV(ハイブリッド)」、第2は「EV(電気自動車)」です。ディーゼルや過吸ダウンサイジングはどうなるの?と突っ込みたくなりますが、ミライースは国内専用だから海外事情は置いておきましょう。
ちなみに「第3のエコカー」の定義が「低燃費のNAガソリン車」だとすれば、ミライースは「ハイブリッドの燃費を、ハイブリッドの半額で達成しました!」と、声高らかに自己紹介できるわけですね。
このクルマの凄いところは、新素材や新技術を採用せずに、コストの安い既存技術だけで低燃費を実現した点にあります。
まず特徴的なのは、エンジン設計と制御技術でしょう。
一般に排気ガスをシリンダーに再循環をするEGIシステムには、配管が使われています。ところがミライースでは、はじめからEGIルートをエンジンヘッドに組み込み、配管を廃して合理化による軽量化を図りました。
またエコカーで定番のアイドリングストップは、通常では停車後にエンジンを止める技術ですが、何とミライースでは、停車前の微速走行時からエンジンを止める制御を採用してきました。
更に軽量化技術でも、ミライースは、常識を打ち破ってきました。
ボディの軽量化では、鉄板が薄くて軽いハイテン鋼を使うのが常套手段となっています。ただハイテン鋼は値段が高くコスト増の要因でした。今回ミライースでは、全体最適の設計手法を用いて、ハイテン鋼を増やすどころか逆に利用を減らし、大幅な軽量化に成功しました。歴代のすべて本の中でも、ハイテン鋼を減らして軽量化したクルマはちょっと記憶にありません。「軽量化=コスト高」という業界のセオリーを見事に打ち破ったのです。いや本当に素晴らしい~。
それから驚いたのが装着タイヤで、100万円を超えるムーブでさえ韓国タイヤを採用しているのに、国産のBSやヨコハマのエコタイヤが標準装備となっていた事です。転がり抵抗18%の改善効果もさることながら、こういうメリハリの利いたコストのかけ方に大いに感心した次第です。
ミライースは、ガソリン車での低燃費と低価格の両立が、従来の技術でも可能であることを証明してくれました。そしてガソリン車が、重く割高なハイブリッド車に充分対抗できることを、示してくれたのです。
ミライースの見事なブレークスルーとガソリン車の更なる可能性に、拍手喝采を送りたいと思います。
(拓波幸 としひろ)