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■事故現場での緊急措置と警察への通報の後に保険会社へ報告
●事故現場では、安易に示談交渉や損害賠償の話をせず、交渉はまず保険会社に任す
近年は、ドライバーの安全意識の高まりやクルマの安全技術の進化のおかげで、交通事故件数と交通事故死者数は年々減少しています。一方で最近話題になっているのは、高齢者による事故の多発です。
交通事故に遭遇したときに必要な基本知識について、解説していきます。
●交通事故の現状
2017年の交通事故件数は472,165件、負傷者数580,850人、死者数3,694人と、件数と負傷者数は13年連続で減少、死者数は現行の交通事故統計となった1948年以降で最少となりました。
死者数の内訳を見ると、65歳以上の高齢者の交通事故死者数は、2017年は2020人で、ここ10年間2000~2500人前後で推移しています。
事故死者数の半分以上が高齢者で、その割合は増加傾向にあり大きな社会問題になっています。
最近、煽り運転のような悪質な交通事故の増加を受けて、2001年の「危険運転致死傷罪」と2007年の「自動車運転過失致傷罪」を併合する形で、より強化された「自動車運転処罰法」が2014年から施行されています。
●事故が起きたらどうする
滅多にしか遭遇しない交通事故なので、突然自分の身に起こると気が動転してしまいます。警察への通報、相手の確認や状況の記録など冷静に対応することが大切です。
また、交通事故を起こすと加害者であれ被害者であれ、また物損事故でも人身事故でも、当事者は道路交通法によって警察に通報することが義務付けられています。
・被害者の場合
加害者が警察に通報しない場合は、被害者が警察に報告する必要があります。報告を怠ると、後で保険金を請求する際に必要な「交通事故証明書」の交付を受けることができないので、注意が必要です。
人間の記憶は時間が経てば薄れてくるので、事故の状況をカメラやメモなどで証拠として残しておくことが大切です。また、相手のクルマの車種や車両ナンバー、住所、連絡先、勤務先、自動車保険の会社名なども記録しておく必要があります。
・加害者の場合
加害者は、2次事故を起こさないように緊急措置と警察への報告が義務です。報告しなければ、法令違反となり懲罰の対象になります。
加害者には、運転の停止(クルマを停止して、事故状況を確認)、負傷者の救護(救急車を呼び、救護処置を行う)、危険防止措置(発煙筒をたくなどして、後続車に事故を知らせて2次事故を防ぐ)、警察への通報(道路上の安全が確保できたら、警察に通報)の4つの義務が課せられています。
●事故直後にやっていけないこと
事故現場では、安易に損害賠償に関する具体的な話をしてはいけません。
もし念書や即時示談を求められても対応することなく、保険会社の担当者が話し合うことを相手に伝えてください。
●事故後の対応
事故現場での緊急措置と警察への通報を終えたら、加入している保険会社へ報告します。
その後警察が到着し、当事者立会いのもとで実況見分が行われ、「実況見分調書」が作成されます。実況見分書をもとに「供述調書」が作成され、内容に問題なければ署名捺印します。
供述調書が警察から検察庁へ送付されて、起訴か不起訴が判断されます。
後日保険金請求のため、交通事故証明書の交付を所轄の警察署に申請します。保険会社は、事故証明書がないと基本的に保険金の請求を認めません。
最後に忘れてはいけないことは、目立ったケガがなくても病院で診察を受けることです。
後になって事故による症状が出ても、事故と症状の因果関係が証明されない限り、保険会社は保険金を支払いません。
30年、40年と長きにわたりクルマを運転していても、交通ルールをまじめに守れば運転頻度にもよりますが交通事故に遭うのは、2回から4回程度でしょうか。
初めて交通事故に遭遇しても、気が動転しないように最低限の知識は持つべきと思います。
(Mr.ソラン)