目次
■日本損害保険協会のクルマ盗難調査から判明した、盗難の実態とは?
日本損害保険協会が「第21回自動車盗難事故実態調査結果」を5月7日に発表しました。
これによると、盗まれた車両のワースト1位がランドクルーザー、2位がプリウス、3位がレクサスLXと、トヨタ車が上位を独占しています。
このデータを基に、盗難被害に遭いやすいクルマにはどんな特徴があり、どういった時間帯や場所が多いのかを検証してみましょう。
●盗まれやすいのは海外でも人気のモデル
この調査は、2000年度から自動車盗難防止対策の一環として、自動車本体盗難事故や車上ねらい事故の実態調査を実施しているもので、今回が21回目となります。
調査は全国の損害保険会社18社を対象に、2020年2月の1ヶ月間で自動車本体盗難事故および車上ねらい(部品盗難含む)事故で車両保険金の支払いを行った事案をまとめたものです(車両本体の盗難の調査総数は232件、車上ねらいの調査総数は224件)。
これによると、2020年2月に盗まれたクルマのワースト10は以下の通りになります。
1位:トヨタ・ランドクルーザー
2位:トヨタ・プリウス
3位:レクサスLX
4位:トヨタ・アルファード
5位:レクサスLS
6位:トヨタ・ヴェルファイア
7位:レクサスRX
7位:トヨタ・ハイエース
9位:ホンダ・ヴェゼル
10位:レクサスGS
ワースト10の中で、9台がなんとトヨタ車です。特に今回ワースト1位のランドクルーザーは、2018年11月の前回調査では35件で3位でしたが、今回は42件に増加。
今回3位のレクサスLXも、ランドクルーザーの兄弟車であることを考えると、ランクルは最も盗まれやすいクルマであるといえるでしょう。
2位・プリウスは前回も同様の2位で、2017年11月の調査では1位。こちらも上位の常連モデル。
レクサス車は今回から車種別に調査を実施していますが、3位のLX以外の車種も盗難が多く、全体で56件もの被害に遭っています。また、例年も常に上位にランクインしていますので、やはり盗まれやすいことが判ります。
なお、今回は7位だったハイエースですが、前回調査では4位、2017年調査では3位と、やはり盗難される件数が多いクルマです。
こういった傾向により、盗まれやすいクルマは、特定の車種に集中する傾向が続いているといえます。
加えてこれらクルマは、いずれも日本だけでなく、海外でも人気が高いことも特徴です。
特にランドクルーザーやハイエースは、前モデルの100系時代から盗まれることが多かった車種。一説には、盗難した車両を分解して部品を海外に輸出する窃盗犯もいるため、盗まれたら発見できないケースも多いといいます。
これら盗まれやすいクルマは本体価格が高価なものも多いためか、盗難1件あたりの平均支払い保険金は401.4万円。こちらも前回調査の361.4万円から増えています。
●盗難が最も多い時間帯は深夜〜朝
一方、盗難の発生時間帯は「深夜〜朝(22〜9時)」が70.3%を占めて最も多い結果に。窃盗犯は深夜から朝にかけて薄暗い場所で窃盗に及ぶ傾向があるといえます。
なお、今回の調査では「深夜〜朝(22〜9時)」の時間帯の発生比率自体は減少し、日中の発生比率が増加しています。
これは、例年は11月のデータが基になっているのに対し、今回は日の入りが早い2月のデータを基に調査を実施しているため、日中時間帯でも薄暗い時間の犯行が増えたものと推察されます。
●発生場所は屋外の自宅が半数以上
盗難の発生場所については、「自宅(屋外)」が過半数を超える51.3%で最も多く発生しました。「契約駐車場(屋外)」も含めると、車両本体盗難の74.1%が屋外で発生していることから、屋外駐車場の車両が圧倒的に狙われやすい傾向があることが判ります。
同協会では、盗難を防ぐためには、次のような対策を複数取ることが必要だとしています。
・普段からバー式ハンドルロックや警報装置などの盗難防止機器を使用する
・防犯設備が充実した駐車場を利用する
・貴重品は車内に放置しない
また、自宅の駐車場でも安心せずに、防犯カメラや防犯灯などを利用して窃盗犯が心理的・物理的に侵入しづらくすることも重要だとしています。
(文:平塚直樹 写真:トヨタ自動車/表:一般社団法人日本損害保険協会)