■高速回転するタイヤはバランスが重要
タイヤが装着されたホイールをよーく見ると、リム(タイヤと接しているホイールの外周部分)周辺に重りのようなものが取り付けられているのを見たことがあると思います。あの重りのようなものは何なのでしょうか? 軽さをアピールしているホイールにもわざわざ付いているあれは、はたして必要なものなのでしょうか?
タイヤは回ることでその機能を発揮します。軽自動車サイズの場合、時速100km/hで走っているときのタイヤの回転数は約1000rpmにもなります。これだけ高回転で回るため、ホイールには全周に渡って重さなどの高いバランスが求められます。実際にはホイールとタイヤは組み合わせてセットで使われるので、ホイールにタイヤを組み込んだ際のバランスが大切になります。
ホイールに重さの不均衡があるのと同様に、タイヤにも重さの不均衡があります。それが打ち消されるようにタイヤを組むのですが、完全には消しきれません。重さが不均衡なまま走ると、振動がボディに伝わるなどの不具合が現れます。そこで、そのバランス取るために付けられるのがあの重りです。名前は「バランスウエイト」というので、まさに重りなのです。バランスは縦方向に対するものと、横方向に対するものがあり、専用の計測機を使って計測し、バランスウエイトを装着します。一般的にスチールホイールはタイヤのリムに引っかけて打ち込むタイプ、アルミホイールは張り付けるタイプが使用されます。
●高速走行で振動を感じたらバランスウェイトを疑ってみよう
タイヤは使っていると減ってきます。タイヤの減り方の均一ではないので、山が半分程度になるとホイールバランスがずれてくることがあります。タイヤがある程度減った状態で高速走行時に振動など発生する場合は、ホイールバランスを調整すると改善することがあります。あるいはバランスウエイトが外れていないかもチェックしましょう。
まあ世界にはとんでもない猛者どもがいるもので、WTCC(現WTCR)というカテゴリーのレース取材に行ったときは「あんなものはいらない」といって、ノーバランスウエイトでレースを戦っているチームもありましたが(笑)。
バランスウエイトは日本では鉛製が一般的ですが、欧州では酸性雨がバランスウエイトの鉛成分を溶かして環境内に入り混むということで禁止されています。日本でもショップによっては、鉛バランスウエイトの使用を取りやめていることがあります。
(文・諸星陽一)
この記事は2022年3月11日に再編集しました。
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