【自動車用語辞典:違反と罰金「処分の違い」】軽微な違反には行政処分、重大な違反には刑事処分が科せられる

■反則金か罰金かは、違反の種類と悪質度によって決定

●「青キップ」をもらったら反則金を払い、「赤キップ」をもらったら裁判所へ出頭

交通違反のお金のペナルティとしては、比較的軽微な交通違反に対する反則金と重大な交通違反に対する罰金があります。ペナルティの額の大きさや、反則金か罰金かは、違反の種類と悪質度によって決まります。

行政処分で科せられる反則金と刑事処分で科せられる罰金の違いについて、解説していきます。

●行政処分と刑事処分

交通違反の処分としては、行政処分と刑事処分の2種類があります。比較的軽微な違反は行政処分、重大な違反で裁判を受けるのが刑事処分です。

行政処分で科せられるのが反則金、刑事処分で科せられるのが罰金です。軽微な違反が行政処分になるのは、反則金を払うことで刑事事件を免除される「反則金制度」に基づいた処置です。

●行政処分と反則金

公安委員会(警察)が行う処分で、目安として違反点数6点未満未満の比較的軽微な交通違反に対する処分で前科はつきません。行政処分の具体的な内容は、違反点数の付加や免許停止、免許取り消し、反則金などです。

取り締まりの現場で交付される反則金納付書、通称「青キップ」を渡され、警察の判断で不服がなければ、違反点数を付加されて反則金を払えばすべて終わります。

ただし、反則金の支払いや出頭通知に従わなければ、下記の刑事処分に移行します。

●刑事処分と罰金

重大な交通違反に対する刑罰で、目安として違反点数6点以上、一発で免許停止以上の違反です。例えば、30km/h(高速では40km/h)以上の速度違反や無免許運転、飲酒運転などが相当します。

警察の判断だけでなく、検察官や裁判官がドライバーの説明を聞いて裁判で処分を決めます。

取り締まりの現場で告知書、通称「赤キップ」を渡されたら、2週間~1ヶ月程度で裁判所から呼出状が届いて裁判を受けます。不服がなければすぐに刑が確定する「略式裁判」、不服があれば正式な裁判となります。

裁判で有罪が決まった場合、刑罰としては「罰金」、「禁固」、「懲役」があります。罰金の場合でも、有罪なので前科がつきます。

●反則金の額

反則金の一例をあげてみます。

・免許証不携帯 3,000円  ・無灯火違反 6,000円  ・赤信号無視 9,000円

・携帯電話使用等(交通の危険)違反 9,000円

・スピード違反(25km/h以上30km/h未満) 18,000円

高速道路のスピード違反(35km/h以上40km/h未満) 30,000円

違反をしたら、反則告知を受けた日の翌日から7日以内に、反則金を納付しなければいけません。未納のまま告知から約40日経過すると罰金と同じ扱いになり、刑事裁判を受けることになります。何度も出頭要請されたにもかかわらず応じないと、逮捕されるケースもあります。

●罰金の額

罰金の額の上限や相場などはおおよそ決まっていますが、明確な基準はありません。最終的な罰金の額は、裁判で決まります。

罰金の目安をあげると、以下の通りです。

・無免許運転の場合は50万円以下の罰金、もしくは3年以下の懲役

・速度違反の超過35km/h 7万円、超過40km/h 8万円

上限は6ヶ月以下の懲役または10万円以下の罰金

・酒気帯び運転 3年以下の懲役または50万円以下の罰金

酒酔い運転 5年以下の懲役または100万円以下の罰金

反則金と罰金の処理の流れ
反則金と罰金の処理の流れ

反則金と罰金の決定的な違いは、罰金が刑罰のひとつであるのに対して、反則金はそれを免除してもらうための特例であることです。

ちなみに反則金の納付率は毎年98%前後で限りなく100%に近いですが、金を払えば済むでしょうという風潮は危険です。反省して、再発しないように安全運転を心がけることが大切です。

(Mr.ソラン)

この記事の著者

Mr. ソラン 近影

Mr. ソラン

某自動車メーカーで30年以上、自動車の研究開発に携わってきた経験を持ち、古い技術から最新の技術までをやさしく解説することをモットーに執筆中。もともとはエンジン屋で、失敗や挫折を繰り返しながら、さまざまなエンジンの開発にチャレンジしてきました。
EVや燃料電池の開発が加速する一方で、内燃機関の熱効率はどこまで上げられるのか、まだまだ頑張れるはず、と考えて日々精進しています。夢は、好きな車で、大好きなワンコと一緒に、日本中の世界遺産を見て回ることです。
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