■アメリカ仕様で335馬力から382馬力へと14%も出力を向上。メカニズムの改良ポイントは圧縮比にあり!
トヨタがBMWと共同開発したスポーツカー「GRスープラ」。直列6気筒エンジンを積む3.0Lモデルのマイナーチェンジがアメリカで発表されました。日本国内での発売開始から一年足らず、初めてのマイナーチェンジの内容は驚くべきものです。
なんと、最高出力・最大トルクとも向上しています。とくに最高出力については、北米仕様で335馬力から382馬力へと約14%も増えているのです。
ちなみに、日本仕様の最高出力は340馬力(250kW)です。アメリカとは単位や条件が異なりますが、もし北米仕様と同等のパワーアップを果たすとすれば、最高出力は388馬力に達すると見込まれます。
現代のスポーツカーはトータルバランスが求められますし、環境性能とパフォーマンスの両立も必要ですから、パワーが正義というわけではありません。それでも、大幅なパワーアップというのは商品性を高める進化といえるでしょう。
エンジン自体は3.0L 直列6気筒 ツインスクロールのシングルターボ仕様で同一です。では、47馬力もパワーアップした理由はどこにあるのでしょうか。
ポイントは2つ。ひとつはエキゾーストマニホールドの改良です。これまでの2ポートから6ポートへと大きく変化した排気系によりターボチャージャーの能力を引き出すことに成功しているといいます。さらに、ピストン形状を見直して、圧縮比を従来の11.0:1から10.2:1へと落としています。
圧縮比を下げるというのは熱効率の面からするとマイナスに思えますが、ターボエンジンのチューニングにおいてはハイブースト(過給圧を高めること)による異常燃焼を防ぐための常套手段です。現時点ではブースト圧がどのように変化したのか公表されていませんが、かなりのブーストアップによってパワーを高めたことは間違いないでしょう。最大トルクについては365lb.ft.(ポンド フィート)から368lb.ft.とわずかな変化に留まっています。こうしたパワートレインの改良により、0-60マイル/時の加速性能は4.1秒から3.9秒へと短縮されたということです。
パワーアップに合わせてシャシーセッティングも見直しています。具体的には、ストラットタワーとラジエーターサポートに結合する軽量アルミニウムブレースの追加がトピックス。さらに電動パワーステアリング、アダプティブバリアブルサスペンション、車両安定性制御(VSC)、アクティブディファレンシャルの制御プログラミングも改良して、ハンドリング性能も高めているということです。
北米仕様に用意されるという限定モデル「A91 エディション」に内容も注目でしょう。ブルーの新色専用ボディカラーは鮮やかで、それに合わせたステッチの入ったアルカンターラ内装は特別感があります。
日本ではマイナーチェンジ版の発売は2020年秋以降と発表されています。はたして「A91 エディション」の上陸はあるのでしょうか。
(山本晋也)