■三菱自動車の「ディーゼル車の不正」はどんなもの?
1月23日のこと。三菱自動車が「ディーゼル車の排気ガス不正の疑い」ということでオランダ当局から捜索を受け、ニュースになった。その際、三菱自動車はメディアからの問い合わせに対し「調査中です」という事実上のノーコメント。日本で三菱自動車のディーゼルに乗っている人からすれば、自分のクルマから有毒ガスを出している可能性もあり憂慮したことだろう。
その後、どうなったか? 1月30日になって三菱自動車がリリースを出した。概要は以下の通り。
1)今回の立入調査は、欧州における排ガス規制「ユーロ5b」の2.2Lディーゼルエンジン、および「ユーロ6b」の1.6Lディーゼルエンジンと2.2Lディーゼルエンジン(いずれも生産は終了)を搭載した乗用車を対象としたものです。2)具体的には、これらのエンジンによる窒素酸化物(NOx)の排出量を、認証試験で用いられる台上試験においてのみ規制値に適合させることを意図した、いわゆる「デフィートデバイス」をエンジンに装備した疑いがあるというものです。3)なお、対象となっているエンジンのうち、1.6Lのディーゼルエンジンは、制御も含め、プジョー・シトロエン社製です。
解りやすく説明しよう。三菱自動車が日本で発売してるデリカD:5とエクリプスクロスに搭載されているディーゼルは上記の「ユーロ6bの2.2Lディーゼル」に近いスペックを持つ。不正とされた疑いの内容は、VWやメルセデスと同じく「ハンドル操作のない台上試験時のみ規制値に適合する不正ソフトが使われているのではないか?」というもの。
また、1.6Lディーゼルは制御ソフトを含めPSAから購入していたそうな。という前提条件で、三菱自動車は自社開発した2.2Lディーゼルは全く不正していない、とリリースに明記してきた。ここまでハッキリ書くのだから、その通りなんだと思う。三菱自動車や、制御系を担当しているデンソーは捜査対象にこそなったものの、三菱自動車は自信を持って「問題無い」と言ってる。
一方、三菱自動車としてはPSAから買っている1.6Lディーゼルについて何のコメントもしていない。リリースには明記されていないけれど、おそらくボッシュ製と推測される制御ソフトはブラックボックスになっており、不正しているかどうかすら解らないということだと思う。もう少し踏み込んで推測すると、PSAのディーゼルが問題になっているのかもしれません。
ということから日本で販売しているディーゼルには不正をしていないことが解る。また、ヨーロッパでもディーゼルの販売を終了しているため、販売禁止措置による実害無し。加えて販売済みの1.6Lディーゼルに問題が出たら、PSAの責任で対応することになるだろう。この件が三菱自動車に悪影響を与える可能性はないということになります。三菱自動車のディーゼルに乗っている人は安心していい。
(国沢光宏)