●搭載エンジンや駆動方式別に個別セッティングされたサスペンション
ホンダ・ヴェゼルをベースとして専用のエアロパーツ等を装着し、スペシャルなスプリング&ショックアブソーバーを組み込んだ上できっちりとセッティングがなされたモデルがモデューロX シリーズです。
内装においても前後のフロアマットに専用品が装着されるほか、リアシートではオリジナルの表皮が採用されています。またフロントシートは独自のフレームを持つモデューロX専用品が装着されました。
これはヘッドレスト一体型として全体にサポート部分のボリュームを大きくしたもの。内部ウレタンの形状や体圧分布にもこだわって開発したものです。
そんなヴェゼル モデューロXには1.5Lガソリンエンジン&モーターによるハイブリッドのFFと、これの4WD版、1.5Lガソリンターボエンジン・FFの3モデルが用意されます。
今回はそのうち1.5Lターボ搭載の『ヴェゼル ツーリング モデューロX(352万8800円)』に試乗しましたので報告します。
ヴェゼル モデューロXの外観での大きな特徴となる前後のバンパーは、空力特性の向上をしっかりと図った上で装着されたものです。
具体的にはフロントのバンパー下部には2つの整流板とフラットパネルを合わせた造形がセットされ、正面から受けた空気を積極的にボディ下に流してやる効果があります。
そしてフロア下を通ってきた空気を後方に綺麗に跳ね上げるため、リヤバンパー下部にはディフューザー的形状を取り入れると同時にセンターには大きめの整流フィンをセットしています。
これらのエアロパーツは試作品をセットした状態で鷹栖プルービンググラウンド(ホンダが持つハイスピードコース)他をテストして形状を煮詰めていったもの。
今回は一般道での試乗でしたのでこのエアロパーツの効果をはっきりと実感することはできなかったのですが、高速道路走行などでは大きなメリットを発生しそうです。
サスペンションまわりに関してはモデューロX専用なのは前述の通りですが、実は今回の3モデル~すなわちハイブリッドのFF、同4WD、ガソリンターボのFF~専用に作り分けがなされています。
例えばアルミホイールは4WD(ハイブリッド)が17インチ、FF(ハイブリッド/ガソリン)は18インチとしました。またサスペンションに関しては3モデル全てで個別にセットアップしたものとなっています。
中でも今回チェックしたガソリンターボFF用は、わりと明確にスポーティーさを訴えかけてくるものとなっていました。
乗った印象は、時速10~20km/hやなどのごく低速でも足回りにがっちりとした剛性感を感じるものとなっています。それはまるでタイヤをよりハイグリップなものに履き替えたような印象なのですが、実はタイヤ自体はベースモデルと変更はありません。
また少し速度を上げて走らせていると、ステアリングを切ったときの応答性の高さに気づきます。その動き方はかつてのFD2型4ドア・シビックタイプRを思わせるような硬派な匂いも漂っています。
もちろんFD2ほど過激な反応ではなく、また乗り心地もヴェゼルのそれは相当に快適なのですが、方向性としては近いものがあります。
なお、初期の応答性だけが高くて後は腰砕けになるような印象はなく、ステアリングの舵角を与えれば与えただけ、硬質感は保持しつつもナチュラルにロール量が増していくことも特徴です。
またこの際、まるでEPSの制御自体も変更したかのような、しっかりと重く、かつリニアに反応するステアリングフィールも印象的。しかしながら、電動パワーステアリングには全く手を入れていません。
どうやらこのフィールの違いには、専用設計した18インチ・ホイールの重量配分やたわみ方などまで考慮して、サスペンションと合わせこんでいったという深みあるセッティングが影響しているようです。
というわけで1.5Lターボエンジン搭載のFF版ヴェゼル モデューロXは、全体にしっとりと上質にまとめ上げたハイブリッド4WD版とは異なり、鋭敏な、明確なスポーツ性を訴えかけてくるモデルでした。
(写真・動画・文/ウナ丼)