人気SUVの仲間入りを果たした新型ホンダ・ヴェゼル。あえてガソリンエンジン車を指名する手もアリ!?

■スムーズで力感ある走りではハイブリッドが上だが…

空前のSUVブームの中、2021年現在の売れ筋モデルは、コンパクトSUVのライズ、ミドルサイズSUVのハリアー、RAV4となっていて、「トヨタ」ブランドの強さが際立っています。その中に割って入ってきたのが、2021年4月に発売されたホンダの新型ヴェゼル

ホンダ・ヴェゼル
新型ヴェゼル(ハイブリッド仕様)の走り

2021年7月の登録車販売台数では、SUVトップの6位、7573台となっています。

全長4330×全幅1790×全高1580〜1590mmというボディサイズは、先代の全長4330×全幅1770×全高1605mmと比べると、20mmワイドになっています。先代はスポーティムードが濃厚に漂っていて、それでいながら後席や荷室が広く、使い勝手の高さも人気SUVとして何度も販売台数ナンバー1に輝いた要因といえるでしょう。

ホンダ・ヴェゼル
新型ヴェゼルのガソリンエンジン車「G」のエクステリア

新型は、全長が同じとは思えないほど伸びやかな印象を受けます。全高が15mm低くなったこともある上に、横基調のキャラクターラインやスリークなボディラインがそう思わせるのかもしれません。

気になる新型ヴェゼルの走りは、ハイブリッドもガソリンエンジン車も低速域から力強く、とくにハイブリッドは欲しい加速が瞬時に得られる力感があります。

中でもフィットと同じ「e:HEV」となるハイブリッド仕様は、フィットよりも1.5Lエンジンの最高出力・最大トルク共に高くなり、さらにモーターの出力、トルクも増強されているため、フィットよりも150〜180kg重くなっている影響を感じさせません。

ホンダ・ヴェゼル
新型ヴェゼル(ハイブリッド仕様)の走行シーン

高速域でもパンチ力がそこそこあり、4人乗車や多くの荷物を積んでいてもモアパワーを抱かせるシーンは少ないはず。「ECON」スイッチをオフにすれば、スーっと前に出る感覚があり、もう少し加速が欲しいシーンで押せば物足りなさを覚えることはあまりないでしょう。

一方で、ハイブリッド仕様でも思いのほかエンジンが頻繁に始動します。街中でも登り坂やアクセルを少し強めに踏み込むとエンジンが始動し、高速道路の法定速度上限くらいになると、音もそれなりに車内に伝わってきます。

街中での静粛性は問題ないだけに、電動車にありがちですが、エンジン再始動時の音や振動が目立ってしまう印象。

ホンダ・ヴェゼル
新型ヴェゼル「G」のリヤビュー

また、乗り心地はホンダらしく芯のある手応え。減衰はしっかりと利いていて、ボディが揺すられるようなシーンが少ないのが美点です。多少硬めの乗り味ではあるものの、意のままのハンドリングにより狙ったラインをピタリとトレースできる感覚で、ワインディングでも走りを楽しめます。

ガソリンエンジン車もハイブリッド仕様と遜色のない仕上がりになっています。低回転域のスムーズ感やトルク感ではハイブリッドに譲るものの、100kg程度車両重量が軽いこともあり、軽快感では上。また、先述したように、ハイブリッド仕様はエンジン始動で車内の静粛性が大きく変わる印象があり、ガソリンエンジン車はその差が比較的小さい利点もあります。

街乗り中心で、時々ロングドライブを楽しむくらいであれば、ガソリンエンジン車を指名しても高い満足感が得られそうです。

ホンダ・ヴェゼル
「G」のインパネ

価格面では、265万8700円〜329万8900円のハイブリッド仕様に比べて、ガソリンエンジンは「G」のみですが、FFは227万9200円、4WDは249万9200円で、40万円程度ガソリンエンジン仕様が安くなっています。

初期受注1ヵ月では、ハイブリッド仕様が9割超を占めていたようですが、あえてガソリンエンジン車を選んでもコスパの良さを享受できます。

(文:塚田 勝弘/写真:前田 惠介・塚田 勝弘)

この記事の著者

塚田勝弘 近影

塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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