■持続可能な社会を目指す高邁な取り組み!
自動車部品大手のアイシングループのブースでは、グループ各社がカバーする幅広い事業領域と高い専門性を生かして、社会課題の解決にチャレンジしていくことをアピールしていました。
なかでも大きなテーマが電動化を通じた取り組みです。同グループは2004年に、部品メーカーとしては初めてハイブリッドシステムの開発に成功しましたが、その後も開発を続け、現在ではハイブリッドやEV向けのeアクスル(モーターやインバーターを車軸と一体化したもの)で世界的な評価を得ています。自動車の電動化率を高めることで効率を高め、CO2を削減し、温暖化防止に貢献しているわけです。2020年にトヨタが投入するピュアEV「IZOA」向けのeアクスルも量産が始まることがアナウンスされました。
もうひとつ、安全な移動・輸送に関する取り組みも興味を引くものでした。たとえば自動車関連事故の30%が駐車場で発生していることに対し、同グループが2003年以来磨き上げてきた自動駐車技術を役立てようとしています。先ごろ発表されたトヨタ・ヤリスには、ハンドル操作はもちろん、アクセル&ブレーキ操作も不要の新しい自動駐車システムを投入しましたが、来年には愛知県内で進めている自動バレー駐車(ドライバーがいなくても車両が自律的に入出庫するシステム)の実証実験を本格化させるといいます。
運転中のドライバーの状況を検知するシステムも目覚ましい進化を感じさせました。この技術では、2006年にレクサスGSに初採用されたドライバーの顔の向きを判定する仕組みが先駆けでしたが、現在では目の開閉や視線の向きなども把握できるようになり、さらに骨格から車室内の様子を知る仕組みも開発中とのことです。
豊かな社会づくりへの貢献としては、高齢者の外出機会を創出する「チョイソコ」というサービスもあります。このサービスは同グループが愛知県豊明市で実証実験を進めているもので、利用者が目的地とする店舗などと協力して運行する独自のもの。税金や補助金などへの依存度が低く、持続可能な公共移動手段をして注目を集めています。利用者もすでに1300人に達したということです。
自動車部品メーカーというと、ミクロな視点にこだわる企業なのかと思いがちですが、アイシングループのビジョンは、地球と社会といった視点に立った高邁なものでした。ぜひその取り組みをアイシングループブースで確かめてください。
(文と写真:角田伸幸)