我が軍団、玉砕す!OPT300ZX、富士耐久レース3戦目…フォーメーションラップで散る!その2【OPTION 1986年2月号より】

OPTION誌1983年12月号より連載がスタート、「ストリートからサーキットへ挑戦!」と、フェアレディ300ZXをレース仕様へとチェンジし、富士スピードウェイ(以下、FISCO)の耐久レースに挑戦していた我がOPTION。

ラストストーリーその1では、クラッシュした300ZX画像にビックリ! で、車検合格までを紹介しました。さぁ、300ZXに襲いかかった悲劇は始まったばかり…。ではその2、いってみましょう!

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OPT300ZX 富士500kmレース挑戦
クラッシュまでの一部始終STORY

クラッシュした300ZX
痛々しい姿です(涙)。

【トラブルが本格的に襲いかかってきた!】

・エンジン積み替え&クーリング対策開始

■トラブル1(第1予選)

トラブル1
インタークーラーホースに亀裂が…。オイルホースにも…。

エンジンの慣らしを兼ねてコボが走る。が、3周でピットイン。ターボのブースト圧(今回から0.8kg/cm2から1.0kg/cm2)が上がらないのだ。で、点検の結果はインタークーラーへのゴムホースに亀裂が。しかもオイルパンからのオイルホースのフィッティングにも緩みがありオイル漏れ発見。ドライバーを英ちゃん(※ターザン山田)に替わってレインタイヤで走るも1分49秒台。コボが47秒台で時間切れ。

■トラブル2(第2予選)

予選に果敢にトライするも…。
トラブルが次ぎ次ぎと発生し。

英ちゃん、路面が乾き始めたのでタイムアタックするが、1周目に43秒台しか出ずタイムもダウンするばかり。エンジンが回らず水温も上昇気味。どうもエンジンというよりクーリングに問題があるようだ。さぁ、大変だぞ!

■コンピューターの変更

ピットでコンピューターチューン
HKSはパソコンを持ち込み、その場でセッティングする。今では普通の風景だが、当時は最先端!

東名製VG3.4LのHKSターボチューンは今回も三菱TD08を使っている。が、中速でややカブり気味なのでコンピューターのROMを変更してガスを薄くしてやる。こんなコンピューターチューンはHKS電子部門のお家芸なのだ。ピットでパソコンを使って計算するのにビックリ。

■決勝は第1戦のVG・3Lでやる!

3.4Lから3Lへの換装は別に問題ない。エンジン差もパワー的には300psくらいでトルクが違うくらいだからだ。どちらかといえば3Lは回転レスポンスで使う感じ。

エンジン載せ替え
3.4Lから3Lへとダウンサイジングをする300ZX。

■トラブル3

トラブル続出
オーバーヒート後にはオイル漏れも発見!

オーバーヒートした東名VG34のトラブル個所はオイルシールだった。クランクシャフト後端のオイルタンクとのシールが熱で変形していたのだ。これはVGの弱点みたい。というのも、グループCカーもここが弱いという話を聞いた。

■トラブル4

苦労いろいろ
アイデア満載でマシンをメイク。

クーリング対策はラジエター部への空気導入口に追加しているオイルクーラーの角度を変更したり、ボンネットのエアスクープを逆に付け直してエンジンルームから抜くようにするなどアノ手、コノ手。

■トラブル5

フライホイールも交換
トラスト製のフライホイールをRSヤマモトから調達した。

深夜、Dai東京へ走る。といっても分からないだろうが、実は3.4Lと3Lではフライホイール(のボルト)が違い、ノーマルクランク用がない! で、急遽Daiが東京のRSヤマモトから都合してきた。トラスト製のクロモリだ。しかし、ストリート用なのでボルト穴にわずかの遊び(クランクの精度差程度か)があり、レース用では心配なのでノックピンを作るのに時間がかかった。

【ナニ! スタートラインに戻らない!?】

フォーメーションラップで
フォーメーションラップでコースインしたものの、スタートラインに戻ってこない…!!!

<ドライバーの報告です>

■攻めの走りをしたかった by コボ(桂 伸一)

最終戦は練習からトラブルだらけ。レースって難しいもんだと思い知らされた。決勝の朝、ウォーミングアップで走ったとき、コースは水溜りというより川がたくさんできていた。この雨の中をレーススピードで走ったらきっとボクがクラッシュしちゃうだろうな、と思ってたよ。でもスタートしたかったね、英ちゃん!

コボこと桂伸一
コボちゃん、OPTIONデッチ時代の若かりし頃!

300ZXでレースをやるって決まったとき、ホントにボクを乗せてくれるとは思っていなかったから、第1戦のスタートラインに並んだ時は大感激だった。その分、良い走りをしようと思ったけど、クソ度胸だけじゃタイムは速くならんのよ。

でも耐久レースでは路面が刻々と変わるなど、いろんな勉強をさせてもらった。3戦ともやっと走ったって感じで、攻めの走りができなかった。もう1回チャンスをもらえればイケるんだけどな~。

■壊してスミマセン、やっと慣れたのに by 山田 英二(※後のターザン山田)

山田英二
後に「ターザン山田」「ラーマン山田」となりV-OPTで暴れだすこととなる山田英二選手です!

もう頭が上がらないです。みんなにホント、悪いことしました。だいぶ慣れたし前回も最後でツブれたから、今回は雨でもガンガンいくつもりでした。それがこんなハメになろうとは、ボク、けっこう雨は嫌いじゃないし、富士の300Rも知っています。でもこれほどの大雨は走ったこと無かったんです。油断しました。悔やんでも悔やみきれない。

300ZXのほうは毎回、熟成されていき速くなるので走るのが楽しみだった。フォーミュラとは違うフィーリングの運転も面白くなっていたのに。ボクとしてもこのままで終わるのはイヤです。Daiさん、もう1回走らせて!

■最終戦には乗れなくて残念 by 小宮 延雄

小宮延雄選手
この第3選にはマカオGPと重なり参加できなかった小宮選手。

ミラージュレースのマカオGPとバッティングしたので300ZXの3戦目には乗れなかった。2戦までの感じではブレーキを強化すると走りやすくなるはずだった。どのくらいタイムが短縮するか楽しみだったのに…。でもあの大雨じゃヤバかったかな。でもいいじゃない、OPTもレースの難しさがよく分かったでしょ!

■このままじゃ、止められない by稲田 大二郎(Dai)

この大雨と霧だろ。ホントはレース止めるべきかもしれないけど、OPTのページができなくなるから辛かったね。多分、決勝でもスピンやクラッシュは避けられないと思ったよ。キズが大きいか小さいか、でしょ。

OPT300ZXゴマメ前
中途半端には終われない…さぁど~する!?

メカニックやスポンサーの皆さんには申し訳ないの一語です。でも、こんなんじゃピリオドは打てないね。レースやってないんだから。まず修理を急いで最高速テスト、1月のエキサイティングカーショーに出し、もう一度何か考えたい。

第3選のリザルト
半数以上が完走できなかった雨のレース、最終リザルトがコレ。
OPTION1986年2月号
色あせた1986年2月号のOPTION誌です!

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あいや~! フォーメーションラップで散らなくても、レース中に大なり小なりの傷を負ってリタイヤしたか…ってところだったようですね。次回は、Daiちゃんが宣言した谷田部での最高速テストを紹介しようと思います。しばしお待ちを~!

[OPTION 1986年2月号より]

(Play Back The OPTION by 永光 やすの

この記事の著者

永光やすの 近影

永光やすの

「ジェミニZZ/Rに乗る女」としてOPTION誌取材を受けたのをきっかけに、1987年より10年ほど編集部に在籍、Dai稲田の世話役となる。1992年式BNR32 GT-Rを購入後、「OPT女帝やすのGT-R日記」と題しステップアップ~ゴマメも含めレポート。
Rのローン終了後、フリーライターに転向。AMKREAD DRAGオフィシャルレポートや、頭文字D・湾岸MidNight・ナニワトモアレ等、講談社系車漫画のガイドブックを執筆。clicccarでは1981年から続くOPTION誌バックナンバーを紹介する「PlayBack the OPTION」、清水和夫・大井貴之・井出有治さんのアシスト等を担当。
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