■独自開発から共同開発へ。スバルのノウハウを用いたAWDのEV専用プラットフォームを生み出す
電動化やシェアリング、自動運動など自動車業界は大変革期にあります。従来型のビジネスモデルが通用しないシーンを増えてきていますし、テクノロジー面でもまったく新しいアプローチが求められる時代です。
そんな中、トヨタとスバルがCセグメントのSUVモデルを共同開発することを発表しました。もちろん、次世代モデルですからパワートレインは電気、つまりEVのSUVモデルです。
すでに、トヨタとスバルは86/BRZの共同開発や、トヨタハイブリッドシステムのノウハウをSUBARU クロストレックハイブリッド(北米で販売するプラグインハイブリッド車)に採用するなど、2005年に業務提携を発表して以来、深い関係を築いています。86/BRZではスバルの水平対向エンジンにトヨタのD-4Sを搭載するなど、技術的な交わりも進んでいます。
今回、発表された電気自動車のSUVについても、そうした関係の延長戦として互いの強みを合わせることが期待されます。とくに、ニュースリリースにおいて次のように記されている部分は、注目といえるでしょう。
トヨタが仲間づくりに取り組んでいる電動化技術とSUBARUが長年培ってきたAWD(全輪駆動)技術を活用するなど、両社の持つ技術の強みを持ち寄ることで、EVならではの魅力ある商品づくりにチャレンジしてまいります。
トヨタはマツダやデンソーと共同出資、スバルにスズキも参画した電気自動車のエンジニアリング会社「EV C.A. Spirit」や、長年のハイブリッドシステム開発によるノウハウがあります。一方、スバルにはSUVには欠かせないAWDについての深い知見があります。
たとえば、トヨタハイブリッドシステムを応用したSUBARUクロストレックハイブリッドのAWDシステムでは前後の駆動配分を制御するカップリングを電動化するなどしています。その制御では回生ブレーキも考慮した前後配分ロジックを用いているということでした。
公開されている一枚のイメージ画像ではフロアにびっしりとバッテリーを搭載しているEV専用プラットフォームの様子が確認できます。このイメージ画像がリアルならば、前後独立モーターによるAWDとなることが予想されます。機械的にプロペラシャフトで結んだAWDも否定はできません。いずれにしても、そこにはスバルのノウハウが活用され、フォレスターやXVなどが示す悪路走破性をEVでも味わうことができるのでしょう。
(山本晋也)