トヨタとSUBARUが共同開発するEV用プラットフォームは、CセグからDセグメントのセダン、SUVなどの複数車種を各ブランドがリリースへ

■トヨタとSUBARU、86/BRZに続いた共同開発はEVだった!

トヨタとSUBARUの提携では、目に見える形では86/BRZというFRスポーツカーがあります。少なくても日本向けのモデルにおいて、目に見える形では、86/BRZ以来ともいえる新たな共同開発が発表されました。

2019年6月6日、トヨタとSUBARUは、中・大型乗用車向けのEV専用プラットフォームに加えて、CセグメントクラスのSUVモデルのEVを共同で開発することに合意したと発表。両社は、共同で開発した車両を各ブランドで販売する予定としています。

また、これらのプラットフォーム、車両の共同開発は、トヨタが仲間づくりに取り組んでいる電動化技術とSUBARUが長年培ってきたAWD(全輪駆動)技術を活用するなど、両社の持つ技術の強みを持ち寄ることで、EVならではの魅力ある商品づくりにチャレンジしていくと表明。

先述したように両社は、2005年の業務提携の合意以来、2012年登場の86/BRZ、2018年にはトヨタの持つハイブリッド車技術に関する知見を使い、SUBARUオリジナルのプラグインハイブリッド車「CROSSTREK HYBRID(クロストレック ハイブリッド)」を米国で販売するなどの例があり、両社は、開発・生産・販売など様々な分野での協業を深めてきたとしています。

自動車業界は100年に一度といわれる大変革期にあり、両社はコネクティッド、自動化、シェアリング、電動化といった「CASE」と呼ばれる新しい領域への対応をはじめ、これまで以上に広い領域において、スピード感を持った技術開発が求められ、ジャガー・ランドローバーとBMWが電動化技術で提携するなど、業界の動きも年々早くなっています。

今回の合意は、これまでの両社が深化させてきた協業の中でも、特に対応が急がれるCASE領域の中の「E:電動化」への新たな協業に合意したもの。

両社は、EVの商品化について、「大容量電池の搭載が必要であり、普及に際しては異次元の電池供給量が求められることに加え、航続距離や充電インフラ敷設状況によるクルマの使われ方の違いから、これまでのアプローチとは違った販売手法が求められるなど、現時点ではコスト・供給・売り方など様々な課題が山積している」と分析。

そのため両社は、これら市場の多様化するニーズや様々な課題にスピード感を持って対応するため、これまでの発想にとらわれない新しいビジネスモデル、業界の垣根を超えて様々な仲間とともに取り組むことが必要だと認識が一致したそうです。

今回は、第一歩として、両社がお互いの得意とする技術を持ち寄り、可能な部分は協調することで、その製品化を加速させながら、EV専用プラットフォームを共同開発。同プラットフォームは、CセグメントからDセグメントクラスのセダン、SUVなどの複数車種への幅広い応用や、効率的な派生車開発にも対応できるよう開発していくそうです。

トヨタは2017年9月にマツダ、デンソーと「EV C.A. Spirit」を立ち上げ、翌年1月にはSUBARU、スズキ、ダイハツ、日野、さらに10月にはいすゞ、ヤマハ発動機が加わっています。

今回のトヨタとSUBARUのEV共同開発は、「EV C.A. Spirit」の成果かどうか表明されていません。少なくても今回、トヨタとSUBARUが「業界の垣根を超えて様々な仲間とともに取り組むことが必要」と説明しているように、今後、こうした発表が続く可能性は高そうです。

(塚田勝弘)

この記事の著者

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塚田勝弘

1997年3月 ステーションワゴン誌『アクティブビークル』、ミニバン専門誌『ミニバンFREX』の各編集部で編集に携わる。主にワゴン、ミニバン、SUVなどの新車記事を担当。2003年1月『ゲットナビ』編集部の乗り物記事担当。
車、カー用品、自転車などを担当。2005年4月独立し、フリーライター、エディターとして活動中。一般誌、自動車誌、WEB媒体などでミニバン、SUVの新車記事、ミニバンやSUVを使った「楽しみ方の提案」などの取材、執筆、編集を行っている。
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