塗装はロールスロイスを超えた!? 日本のスーパーVIPカー「トヨタ・センチュリー」

去年の「東京モーターショー」で話題をさらったクルマ、トヨタ新型「センチュリー」は「ショーファーカー」と呼ばれ、運転はお抱え運転手さんにお任せで、主役は後部座席の方。とにかく後席の人の乗り心地の良さやおもてなしが最優先という、まさにVIPのためのクルマ。日本車ではトヨタのセンチュリーが代表選手で、皇室の方や企業のトップの方などが所有しているようです。

初代センチュリーが発売されたのは1967年。今回は21年ぶり、三代目のフルモデルチェンジです。エンジンは5L・V型8気筒でハイブリッドのみの設定。

写真のクルマは残念ながらナンバー付きではないので、公道での走行が不可。しかし、敷地内を移動する際、少しだけ後席同乗体験をさせてもらいましたが、とにかく静か。そのためハザードやウインカーなど、音の出るものはハイブリッドで室内の静粛性が上がったこともあり、小さい音で設定したとか。

そして日本最高峰のクルマだけにこだわりどころ満載ですが、エクステリアはクラシカルなデザイン。シルエットだけで「センチュリー」ということがわかります。また、随所に縁起のよい模様が使われています。

まずフロントセンターにある「鳳凰」の手彫りで掘られた金型のエンブレム。「鳳凰」は伝説の鳥ですが平安を表す縁起のよい鳥で、1万円札にも描かれています。フロントグリルや後席のコンソール、後席横や後ろのカーテンに描かれている「七宝文様」も縁起の良い柄ですが、この文様は一時期テレビでよく目にしたような。

そして後席の天井にはひし形の「紗綾型の崩し柄」があしらわれた織物。これは私が昔、ブライダルモデルの仕事のときに、花嫁さんが打ちかけの下に着る白い着物と同じ柄です。

アナログな部分もちゃんとあります。たとえば後席のサイドカーテンはなぜか手動。しかしこれには理由があり、障子のように左右にスライドして使います。

後席シートまわりにはほかにも靴ベラ差し、脚を伸ばしてくつろげるオットマンなどがありますが、後席シート本体にもこだわり満点。シートを倒した時には外から顔が見えないように配慮されていたり、シートの乗降時に着物姿でもお尻が引っかからないようにシート脇のサポートはフラットに。また、帽子を被ったまま乗り降りしやすいよう天井を高くしています。

しかし私が何よりも心を奪われたのはエクステリアの美しいボディ塗装。これは新開発の色で「神威(カムイ)」というエターナルブラックの色。7層もの塗装を行い、その中で3回水で研いで磨き、鏡としても使えるような艶と輝きを持つ「鏡面仕上げ」になっています。センチュリーには代々、一番後ろのCピラーは横幅があり、ここに写った自分の姿を見て身だしなみを整えるのだとか。私もやってみましたが、本当に鏡のようによく見えます。

開発の方曰く「新型センチュリーの塗装はロールスロイス以上、世界一だと思っています」という自信を持っていました。お値段は1960万円ですが・・・。

ちなみに今日の新型「センチュリー」の模様は、近日発売される三栄書房「新型センチュリーのすべて」でご覧ください。さらに詳細が分かるはずです。