神戸製鋼所は、同社の「水素ステーション向け拡散接合型コンパクト熱交換器(製品名:DCHE)」が、ステンレス協会賞の機能性部材のカテゴリーで最優秀賞を受賞した、と発表しました。同社のステンレス協会賞の受賞は初となります。
同社のDCHEは、2013年に初めて国内商用水素ステーション向けに採用されて以来、国内の水素ステーション向けに累計100基以上の採用実績を有しており、同社は今後国内の水素ステーション向けに50%以上のシェア獲得を目指しています。
今回受賞したDCHE(Diffusion bonded Compact Heat Exchanger)は、主に水素ステーション向け熱交換器として同社が2012年に開発したものです。
水素ステーション向け熱交換器とは、水素ステーションの主要機器である水素圧縮機やプレクーラー、ディスペンサー内において水素を目的の温度に冷却するために設けられている熱交換器のことで、小型化が要求されています。
同社製DCHEの特長は、ステンレスのプレートに幅1~2㎜の微細な流路を加工、積層し拡散接合をすることで、一般的な熱交換器である2重管式と比較し、広い伝熱面積(約5倍の1,000m2/m3)、コンパクト性(約1/100サイズ)と超高圧への耐性(100MPa)を実現した点です。
開発における主なポイントは以下2点です。
1.熱交換の対象となる水素は、金属組織の中に入ると材料を脆くする性質(水素脆化)があることから、ステンレス板に添加するニッケルなどの合金成分を最適化。
2.拡散接合の様に金属を高温、加圧して接合すると一般的に強度が低下する傾向があるため、強度を維持するために接合時の最適な温度などの条件を選定。
なお開発においては、素材はステンレス・特殊鋼メーカーである日本冶金工業からの供給を受けるとともに、ステンレス関係の知見提供を受けた、ということです。
(山内 博・画像:神戸製鋼所)