トヨタマーケティングジャパンは「TOYOTA NEXT ONE」を開始する、と発表しました。発表の場は、久々にWRCへ復帰する、などというトヨタの2015年のモータースポーツ活動を、豊田章男社長もノリノリでお披露目するというハデな場面のある意味「片隅」で同時に公表されました。
展示してあるのは泥だらけのランクル70。
オーストラリアの大地をほぼ一周、約2万kmの道程を41人の「トヨタの従業員」が自らハンドルを握って走破したのです。なので、モータースポーツではありません。ランドクルーザーを始め、13台のトヨタ車で走ったと言います。
その走破の過程は、公式Webサイト(http://toyota.jp/information/campaign/nextone/)に従業員が「いいクルマづくりのために何が必要なのか?」全身のセンサーを働かせながら、道と語り、クルマと語り合った様子とともに公開されていきます(豊田章男社長もモリゾーとして、モータースポーツを体験するほどに自らのクルマへのセンサーが研ぎすまされて行く、と発表会場で発言していました)。
従業員が走った様子を公開するのに何の意味があるのか? トヨタ車の宣伝をする部門であるトヨタマーケティングジャパンがなぜこういう活動を担うのか? なぞは深まるばかりです。
会場にいらしたプロジェクト担当のトヨタマーケティングジャパン柳澤俊介さんにお話をお聞きすると「このプロジェクトは、オーストラリアを走ったということで終わるものではありません。むしろ始まりの一部です。まだまだ続いて行くプロジェクトなので期待して見ていて下さい」とのこと。
おそらく、モータースポーツがそのクルマの限界性能を試して行くことや、ドライバーの技量が上がることによってより良いクルマづくりにつながって行くという思想のもと活動を続けているはずです。
この『TOYOTA NEXT ONE』もより良いクルマづくりのために、まずは従業員のクルマに対するセンサーを磨かせようとの思いなのではないでしょうか?
従業員の運転技量アップがより良いクルマづくりにつながるので実施するだけでも、トヨタの従業員数を考えると大変なことは想像できますが、それを公開してトヨタのクルマづくりの取り組みの一部としてコンテンツ化してしまう。
あっと驚くクルマづくりとマーケティングを一体化させた戦略なのではないでしょうか。最近のトヨタならではの、一大プロジェクトのひとつなのでしょう。
今後もその「コンテンツ」を通じて、トヨタの「クルマづくり」がどう変わって行くのか、楽しみに見て行きたいと思います。
(小林和久)