ソニーは、車載カメラ向けCMOSイメージセンサー『IMX224MQV』を商品化することを発表しました。このIMX224MQVは、星明かりよりもさらに暗い、闇夜に相当する低照度の0.005ルクスの明るさでも、高画質なカラー映像の撮影を可能とする、世界最高感度を誇っています。
しかも、IMX224MQVはソニーとしては初めて自動車向け電子部品の信頼性試験基準「AEC-Q100」に対応する予定で、ソニーが車載イメージセンサーに本格参入する姿勢を見せている点が注目されます。
このIMX224MQVは、対角線の長さが6.09mmの1/3型のイメージサイズで有効画素数が127万画素となっていて、2014年11月にサンプル出荷を開始して、2015年12月には量産出荷する予定です。
自動安全ブレーキなどに利用される車載カメラには、障害物や人物などの画像を性格に早く認識する性能が要求されますが、暗闇のような低照度でも、より高画質な映像を撮影できるイメージセンサが求められています。
ソニーのIMX224MQVの特長は、暗闇のように暗い環境でも明るいカラー画像を撮影できる点です。
このIMX224MQVを使用して、通常の明るさである400ルクスの環境で、F1.4、露光時間16.7msecの条件で撮影すると、Gain0dbのきれいなカラー画像を撮影できます。
次に、同機を使用して暗闇に相当する低照度の0.005ルクスの環境で、同じ条件(F1.4、露光時間16.7msec)で撮影すると、Gain72db(Max)で色と物の形を判別できる画像を撮影することができました。
これ対して、従来のイメージセンサで同じ環境・条件で撮影すると、次に示す画像のように、Gain48db(Max)の色・形を判別できない映像しか撮影できませんでした。
これらの画像を見れば、今回のイメージセンサIMX224MQVの性能の良さがよく分かります。
現在、経営状態が低迷していることが色々なメディアで取り上げられているソニーですが、イメージセンサの分野では性能・量とも世界的なメーカーで、世界中のスマホの多くは、カメラにソニー製のイメージセンサを採用しているのです。
そのソニーが、今回いよいよ車載イメージセンサの分野に本格的に進出する動きを見せていることは、映像機器で培ったソニーのイメージセンサ技術が、自動車の安全装備に使われる車載カメラの分野でも競争力があると判断してのことでしょうが、それがソニー全体の経営状態にどのように反映するかが、注目されます。
(山内 博)