トヨタ自動車は、10月7~11日に幕張メッセで開催された「CEATEC JAPAN 2014」で、2014年度中(2015年3月末)に量産販売を発表している話題の燃料電池車を展示して注目を集めています。
量産販売を目前に控えて、実際に販売されるセダンタイプの燃料電池車の詳細な仕様が気になるところです。
まず、第1に気になるのが、高圧水素タンクの圧力がいくらになるのか、という点です。
トヨタ系の燃料電池システムには、トヨタ自動車の高圧水素タンク圧力が70MPaのものと、豊田自動織機が開発している燃料電池フォークリフト用の35MPaの2種類があるのです。
現在のトヨタ自動車のプレスリリース資料では70MPaになっていますが、燃料電池車の基本であるだけに、高圧水素タンクの圧力がいくらになるのか、は第1に知りたいところです。
第2の注目点は、発表ではセダンタイプでありながら、乗車定員が5人ではなく4人になっている点です。
いままでのセダンタイプの乗用車は乗車定員が5人となっているのが普通で、燃料電池車が新時代の乗用車であるとしても、なぜ乗車定員が4人になっているのか、が気になるところです。
一般に燃料電池車では、燃料電池セルや水素タンクのほかに、モーター・パワーコントトロールユニット・二次電池といった部品を搭載しなければならず、全高がSUVのように高くないセダンタイプの車両では、どうしても車室が狭くなってしまう傾向があると、言われているのです。
量産販売が間近にせまったトヨタの燃料電池車について考えてみると、無理をすれば5人の乗車定員を確保することもできるが、新時代の乗用車としての未来感やプレミアム感を満足させるには、4人の乗車定員でゆったりとした車室を目指した、というのが本当のところではないでしょうか。
そして第3に、初めて量産販売されるトヨタの燃料電池車で、詳細な仕様の発表が待たれることがあります。
それは、燃料電池セルから発電に伴って排出される生成水の凍結対策がどのように行われているかという点です。燃料電池の原理は、簡単にいうと、水の電気分解の逆の現象で発電する訳ですから、発電に伴って水が発生するのは避けられません。
量産販売を開始するからには、燃料電池セルから出る水が凍結する環境では車を使えません、とは言えるはずもありません。
新時代のエースと期待される燃料電池車が初めての量産販売されるという記念すべき日を目前にして、その詳細な仕様がどうなるかは興味深々で、トヨタからの発表が待ち遠しい、ところです。
(山内 博)