メキシコの自動車生産台数は2013年の293万台から2018年までに400万台を上回ると予測されており、2013年11月~2014年2月の4カ月間に、日産、ホンダ、マツダの3社が工場を開設。
同3工場だけで生産能力が今後数年間で約60万台/年増加する見通しと言います。
各社がメキシコを戦略的な生産拠点として位置付けているのは、メキシコが米国やカナダとNAFTA(北米自由貿易協定)、欧州や南米を中心に45カ国とFTA(自由貿易協定)を締結しており、各国へ輸出時の関税優遇メリットが大きいため。
新聞報道によると、メキシコから米国への自動車輸出は1990年頃まで25万台に満たなかったものの、1993年から2013年の間に4倍超に拡大、生産台数も約3倍に成長。
昨年11月13日には日産がメキシコで3番目となる新工場を19か月という短期間で本格稼働させており、生産能力を25%増の85万台/年に増強。
同社は1966年にメキシコで生産をスタートさせて以来、車両生産台数でトップの地位を維持。新工場の生産能力は17.5万台/年で、同地で3,000名以上の雇用を創出。
またホンダも今年2月21日に主力小型車「フィット」などを生産するメキシコで2番目の完成車工場(20万台/年)が本格稼働しており生産能力は合計26.3万台に。米国で販売する新車の95%以上を現地で生産する体制を整えつつあります。
そして今年1月にはマツダが初めてメキシコに建設した新工場で量産開始。2月27日には関係者600名が参加して開所式が行われました。
メキシコ工場への総投資額は約788億円。新工場の生産能力は14万台/年で、従業員数3,100名。来年にはトヨタへの供給分を含めて23万台、4,600名までそれぞれ拡大する模様。
同社は国内生産比率が76%と高く、超円高が長らく続いて赤字経営で苦戦を強いられたことから、今回のメキシコ新工場建設は悲願になっていました。
このようにメキシコで自動車工場の建設ラッシュが続くのは関税で有利なのに加えて、労働コストが米国比で約4分の1程度という高いコスト競争力が背景に有る為。
ただ、メインとなる対米輸出への過度な依存はリスクを含んでおり、輸出先を多角化してメキシコ内での販売シェアも伸ばす努力が必要との指摘も。
何れにしても安倍政権がTPP交渉で手をこまねいている間にも日本の自動車生産の海外流出の勢いは新興国も含めて止まりそうにない状況と言えそうです。
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