プロデューサーである関谷正徳が言う「ドライビング・コンペティション」とは、つまり「運転技術による競争」ということです。
マシンの性能を徹底的に統一することで、ドライバーのウデだけで勝負するガチンコレース、それがインタープロトなのです。日本のトップカテゴリーで活躍するドライバーが競うプロフェッショナルでこそ、その真価が問われることになります。
ただ予選は準備不足もあり、ドライコンディションでの走行経験が少ないドライバーがほとんど。マシンのセッティングもままならない中、ポールポジションを獲得したのは若手の平川亮でした。逆に下位に沈んだのは田中哲也や影山正彦といったベテラン勢で、なにやら不穏な空気が漂っていました。
スタートしたのは6台で、井口は前日のジェントルマンレースでのアクシデントによってマシンが修復不能になり、スタートすることはできませんでした。
平川はオープニングラップで一時平中にトップを奪われるものの、すぐに奪還。そこからは後続を1周で1秒近いペースで引き離していきました。
序盤は横溝選手と蒲生選手の2位争いが、激しいバトルを展開していましたが、7周目には2位を走っていた横溝がダンロップコーナーの進入でスピンして、そのままリタイヤ。2位との差はどんどん大きく拡がっていきます。とくに第3セクターで他の選手よりも1秒近く速いのです。
8周目に2位蒲生との差は7秒、12周目には9秒、18周目には15秒と引き離し続けていきます。結果として20秒という大差を築いて、チェッカーフラッグを受けました。昨シーズン、全日本F3で圧倒的な速さを見せてシリーズチャンピオンに輝いた才能が、インタープロトの初陣を飾ったのです。
圧倒的な速さを見せつけて優勝した平川亮選手。果たして第2戦で、その差はどうなるのか?注目です。
2位は蒲生、3位には平中が入り、ベテランの田中が4位、影山が5位に終わりました。7周目に横溝がリタイヤしてから順位の変動はなく、バトルシーンも見られませんでした。それは性能が同じマシンの速さを目一杯、安定して引き出し続けるプロドライバーだからこそ、波乱は起きないということです。
マシンが完成してから数日で、しかも事前の走行が雨ということもあり、その仕上がりのバラ付きは小さくなかったのかもしれません。ただし付け加えておかなければならないのは、平川のマシンもまた、最後に組上がった1台だったのです。
今回は、表彰台を若手選手が独占しました。ベテラン勢の巻き返しはあるのでしょうか??
(岡村 神弥)